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¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
金属に限らず金属間化合物やセラミックス材料で超塑性現象を発現させるためには,粒界すべりを起こすために結晶粒径をサブミクロン程度の大きさにまで微細化しておく必要がある.単相組織の材料では結晶粒径をそこまで微細化することが困難であり,また超塑性変形が発現する温度域で粒成長を抑制することも難しいため,超塑性現象は,一般的に変形温度で第二相が安定に存在し得る二相組織の材料で発現することが多い.第二相粒子が,変形中の結晶粒の粗大化を抑制して超塑性変形に寄与していることは間違いないが,変形中に微細粒が保持されれば単相材料でも超塑性現象は発現し得るのか,また母相と第二相界面は超塑性の発現に直接関与しているのかといった本質的な問題に関しては不明な点も多く残されている.本研究では、加工誘起マルテンサイトの逆変態処理によって粒径が1μm以下の超微細粒組織が得られるFe-Cr-Ni合金において,オーステナイト(γ)単相組織での超塑性現象の発現の可能性を検討し,また焼鈍されたマルテンサイト(α)が残留する(γ+α)二相組織の鋼について超塑性変形中の第二相粒子の役割を明らかにした。その結果,(γ+α)二相組織の鋼については,650℃付近の低い温度域で粒界すべりに起因した超塑性現象が発現し,400%を上回る大きな伸びが得られること,一方γ単相の材料では,初期の結晶粒径は同じでも急激な粒成長が起こって超塑性現象が発現しないことが判明した.γ単相の材料でも,変形の初期段階では粒界すべりを起こしており,結晶粒の回転によって微細な微細粒同士が合体して急激な粒成長が誘発されるメカニズムも明らかになった.第二相の存在は,微細粒同士の合体による急激な粒成長を阻止し,微細粒の継続的な粒界すべりを可能にする働きがあることを明らかにした.
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