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¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
生体膜を構成する主要成分であるリン脂質と同様な極性基を有するω-メタクリロイルオキシアルキルホスホリルコリン(MAPC)ポリマーがタンパク質の吸着および細胞の粘着を抑制し,優れた血液適合性を示すことをこれまでに明らかにした.本研究では,MAPCの化学構造の違いが生体適合性に与える影響を明確にするためにpoly(MAPC)の密度を傾斜的に変化させた表面を作製した.この表面と生体成分との相互作用をpoly(MAPC)の化学構造・密度・運動性・配向性に着目して評価した.無可塑性のPEシートにエネルギを変化させながらコロナを照射し,傾斜的に活性な表面を作製した.コロナ照射エネルギーが増すに連れてPE表面に生成した逼酸化物の量は増加した.このPEシートをMAPCのエタノール溶液に浸潰し60℃でも時間重合した.Poly(MAPC)のグラフト小密度は過酸化物の生成量すなわちコロナ照射エネルギーが増すに連れて増し,poly(MAPC)の傾斜表面を作製することができた.ヒト血漿より吸着したフィブリノーゲンの量はpoly(MAPC)のグラフト密虜が増すに連れて減少した.この傾向は他のタンパク質においても確認され,poly(MAPC)で修飾することにより非特異的にタンパク質の吸着を抑制することが明らかとなった.MAPCユニットのメチレン鎖長で比較すると,主鎖と極性基間の繰り返し単位が6のpoly[6-メタクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン(MHPC)]が最もタンパク質の吸着を抑制した.蛍光プローブを用いた評価から,poly(MHPC)の配向性が他のpoly(MAPC)に比べ有意に高く,このことがタンパク質の吸着抑制に寄与していることが示唆された.血小板および繊維芽細胞の粘着性もpoly(MHPC)をグラフトした表面が最も効果的に低かった.傾斜表面により,Poly(MAPC)の表面密度および化学構造の違いによるタンパク質吸着性および細胞粘着粘着性が変化することを明確にすることができた.
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