らせんや分子不斉を不斉源とする新規液晶性高分子の合成
Project/Area Number |
10126222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
川上 雄資 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (80109280)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | スピラン / 分子不斉 / 光学活性 / らせん / 重縮合 / 重付加 / コンホメーション / 液晶 |
Research Abstract |
高分子は、分子が一本の鎖として連結されているため、低分子系とは異なるユニークな性質を示すことが有り、さらに、それら鎖の構成単位の連結の向きの規則性(頭-尾結合の規則性)や置換基の向きに関する規則性(立体規則性)が高分子の物性に大きく影響する。しかし現実的には、新たな高分子材料設計の際には、その化学構造のみに注意が払われているだけで、立体規則性まで積極的に制御しようという試みが少ない。本研究では、キラル源にスピランのような分子不斉や珪素原子の不斉に注目し、それらに起因する立体規則性高分子の設計、合成を検討することを目的とした。さらに、これら立体規則性高分子の高次構造、例えばらせん構造などについて様々な分光学的手法を用いて検討し、それらがポリマーの持つ物性、例えば液晶性などにどのように影響するか検討した。 光学活性スピランと様々なジアミン類との重縮合反応により、光学活性ポリアミドを合成することに成功した。p-Phenylenediamineとの重縮合により得たポリマーは硫酸のみに可溶であったが、2',5'-diamino-4-(dimethylamino)-4'-nirostilbeneや3,3'-dimethoxybenzidineとの重縮合により得たポリアミドは、一般の極性有機溶媒に可溶であり、GPCによる分子量の評価が可能であった。これらの高分子は有機溶媒中でも少なくとも局所的な秩序構造が発生しているということが、旋光度および円二色性スペクトルより明らかになった(Polym.J.,1999,31,313.)。 また、本研究では、最近、様々な機能材料への用途が期待され注目を集めつつある含珪素高分子への立体規則性の付与についても検討した。光学活性なアリルシランおよびビニルシロキサンの重付加について検討した。得られたポリマーのタクチシチーを核磁気共鳴スペクトルより評価したところ、それぞれのモノマーの光学純度をよく反映したアイソタクチシチーを有しており、後者では光学活性も維持できていることがわかった(Polym.J.,1998,30,1001.,Macromolecules,1998,31,5592.)。一方、珪素原子にシロキサンスペーサーを介してメソゲンが結合しているシラシクロブタンを設計、合成し、その開環重合により得たポリマーが室温でスメクチックA相を発現する新規な液晶性高分子であることを明らかにした(submitted to Polym.Bull.)。これは側鎖シロキサンユニットがメソゲンの動きを自由にしているとともに、主鎖中の珪素原子の存在が、主鎖骨格も柔軟にしているためである。このように高分子の分子運動に、主鎖および側鎖それぞれの珪素原子が大きく影響していることから、これらの立体化学を制御することができれば、液晶性など様々な高分子の分子運動にかかわる性質を制御することができると期待できる。
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Report
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Research Products
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