Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
|
Research Abstract |
単電子デバイスは,少数の電子の流れを制御することにより動作するため,1個の不純物の有無によっても,その特性は大きく変化すると考えられる.また,有限温度・有限バイアスのもとではフォノンを介して流れるトンネル電流も動作特性に大きな影響を及ぼすと考えられる.本研究では,不純物フォノンを介したトンネル過程の物性論的基礎を固めることを目的とした.具体的には,不純物を介してトンネルすることによるキャリア移動の速さの測定,超格子においてフォノンを放出してトンネルする際,複数個の量子井戸をトンネルすることにより流れる電流の大きさの決定を行うことを目的として研究を行った.その結果,平成10年度の成果として以下のような事が分かった. ●非対称量子井戸構造において障壁層に不純物をδドープする方法より,障壁層の中央に極めて薄い量子井戸を設け,その中央に不純物をδドープする方法の方が,電子と不純物との相互作用とが強くなり,典型的なパラメータのもとでは,不純物を介したトンネル時間が3桁程度速くなることを計算により示した. ●上記の効果を調べるため,非対称2重量子井戸構造と,その中央の障壁層に極めて薄い量子井戸を設けた非対称3重量子井戸構造との2種類の試料において,各々,不純物をδドープした試料と,していない試料との合計4種類の試料を作製し,時間分解フォトルミネッセンス測定を行った.その結果,o非対称3重量子井戸構造の方が,非対称2重量子井戸構造に比べ,不純物のδドープの有無による狭い井戸のフォトルミネッセンスの緩和時間の変化が大きい. o今回作製した非対称3重量子井戸構造において,狭い井戸のフォトルミネッセンスの緩和時間が,不純物をドープしていない試料に比べ,最大100ps程度短くなる. o非対称3重量子井戸構造における狭い井戸のフォトルミネッセンスの緩和時間が,不純物のドープ量とともに短くなる. ことなどが分かった.
|