Project/Area Number |
10127223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
春山 純志 青山学院大学, 理工学部, 助教授 (70296383)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 微小多孔質アルミナ膜 / 単一電子トンネリング / クーロンブロッケード / 電子間相互作用 / 相転移 / 電場ゆらぎ |
Research Abstract |
本研究の目的は多孔質アルミナ膜を用いて独創的ナノ構造を作製し、そこで単一電子トンネリングが関与する新たなメゾスコピック現象を観察、解析する事にあった。本年度は、主に長い金属量子細線に微小単一トンネル接合が直結された系が蜂の巣状に並列配置された構造での、物理現象を調査した。その結果以下のような新たな知見が得られた。1.高密度な単一トンネル接合系であるにもかかわらずクーロンブロッケード(以下CB)が観察される。その理由として多孔質アルミナ膜中の構造パラメータの均一性が極めて高い事、金属細線が外部電磁場環境の揺らぎに対する高インピーダンスブロックの役割を果たしている事がわかった。2.金属細線の抵抗はバルクに比べ3桁以上も高く、これはAltshulerの理論に基づく乱れた系での電子間相互作用の存在に起因しており、その相互作用は印加電圧を下げるにつれ3次元から1次元に転移する事がわかった。3.CB電圧内では高温側にこの一次元電子間相互作用が、低温側にCB温度領域が、転移温度を挟んで存在する。この転移温度は電子間相互作用が生み出す電場揺らぎとCBの帯電エネルギーの競合により決定される。これはCBが外部電磁場環境に存在する強い電子間相互作用に大きく影響される事を示唆するものである。 多孔質アルミナ膜中のCBの観察に成功した例は本報告が初めてであり、また電子間相互作用のうちAltshulerの理論に従うものとCBの相関を実験的に報告した例もこの報告が初めてである。これらに基づいて、次年度に電子の位相が保存される乱れた系での電子間相互作用とCBの相関、各接合系がカップリングした場合のセル間の電気伝導(セルオートマトンの基本素子)の研究を行う事で、さらに多孔質アルミナ膜構造の特徴を生かした現象の発見、素子応用が期待できる。
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