生体内金属酵素の精密モデル化と活性酸素の捕捉・変換機能
Project/Area Number |
10129211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
増田 秀樹 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (50209441)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | 酸素活性化 / 小分子活性化 / 精密モデル化 / ハイドロパーオキソ錯体 / アルキルパーオキソ錯体 / 物質変換 / 非共有結合性相互作用 |
Research Abstract |
生体系に存在する非ヘム系酸素添加酵素および酸化酵素の精密モデル化を試み、非共有結合性相互作用を配した鉄および銅錯体を設計・合成した。 (1) ガラクトースオキシダーゼ等において反応中間体として提唱されている銅(II)-ハイドロパーオキソの構造確認に成功した。配位子BPPAを用いその銅錯体とH_2O_2との反応を試みた結果、Cu(II)種に特徴的なd-d遷移とハイドロパーオキソから銅(II)へのLMCTが観測された。この錯体のESRスペクトルは三方両錐構造に特徴的なスペクトルであった。また、この錯体の共鳴ラマンスペクトルはCu(II)に配位したハイドロパーオキソ種に由来するO-O伸縮振動が観測された。更に、ESI-MASSスペクトルにおいてもこの生成を支持するピークが観測された。この錯体の結晶構造はOOHが銅(II)にend-on型で配位しており、配位子BPPAの空間的に開いている方向にそのベクトルを向け、OOHが配位子の疎水性置換基により保護され、水素結合により活性酸素が認識・捕捉されていた。これは溶液中で推定された構造とよく一致していた。 (2) リポキシゲナーゼ等において推測されている非ヘム鉄-ハイドロパーオキソ中間体の合成に成功した。アセトン溶液中、[Fe(bppa)(HCOO)](CIO_4)_2に過酸化水素を反応させたところ、溶液は紫色を呈し、ハイドロパーオキサイドイオンから鉄(III)へのLMCTに特徴的な吸収が観測された。この錯体溶液のESRスペクトルは典型的な高スピン単核鉄(III)錯体のシグナルを与えた。更に、ESI-MASSスペクトル測定により、溶液中において[Fe(bppa)(OOH)]^<2+>の組成を有する錯体種の生成を確認した。このような安定な過酸錯体の生成は金属中心に対する配位子BPPAの特異的な配位構造と電子的効果および非共有性相互作用の役割に起因するものと考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)