FTIR分光法による生体金属分子反応中心の微細構造の動態追跡
Project/Area Number |
10129215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神取 秀樹 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70202033)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | プロトンポンプ / 赤外分光法 / 水素結合 / バクテリオロドプシン / チトクロムc酵化酸素 / 偏光法 / 時間分解法 / 酸化還元 |
Research Abstract |
本研究においては、大腸菌の末端酸化酵素やバクテリオロドプシンにおけるプロトンポンプのメカニズムをFTIR分光法により明らかにすることを目的とした。膜蛋白質におけるプロトンポンプには水分子が関与することが考えられるが、我々はバクテリオロドプシンのN中間体に対する解析から水分子の構造変化を室温付近で測定し、他の中間体とは異なる変化を見出した。さらにN中間体に対して、偏光赤外分光を適用したところ、膜に対して垂直な成分をもつペプチドのC=O伸縮振動(アミドI)に大きな変化を観測した。このような新しい知見は、プロトンポンプ過程におけるアクセスが変わった過渡状態の構造を反映しているものと考えられる。さらにシステインのS-H伸縮振動が他の振動から離れた領域に存在することに着目し、水素結合ネットワークの動的な構造変化のプローブとして、システインの導入を提案した。配向試料に対する偏光赤外測定は、振動数だけでなく角度の情報も得ることができるため、プロトンポンプの場となる水素結合ネットワークの構造を議論する上で重要な情報を提供する。そこで試料を含めた測定系を最適化することによって、中赤外の全波数領域での偏光赤外分光の適用を試みた。その結果、液体窒素温度で初期異性化中間体であるK中間体を安定化させ、もとの状態との差スペクトルを高い精度で得ることに成功した。 大腸菌末端酸化酵素はバクテリオロドプシンのように光受容蛋白質ではない。しかしながら、反応中心にヘムを含むため、光励起により摂動を与えることができる。我々は前年度に確立した、リボフラビンを電子供与体に用いた光還元の方法を用いて、シトクロムbo,bdという2種類の大腸菌末端酸化酵素の酸化還元に伴う蛋白質構造の変化を測定した。いずれもカルボン酸やシステイン側鎖、ペプチド骨格に特徴的な変化が見出されてた。さらにシトクロムboに関しては、部位特異的変異蛋白質の測定も行い、特徴的な変化を見出した。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)