ペルオキシダーゼの立体構造に基づく基質の酸化と活性化機構の解明
Project/Area Number |
10129219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福山 恵一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80032283)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | ペルオキシダーゼ / X線結晶解析 / 蛋白質の立体構造 |
Research Abstract |
ペルオキシダーゼは生体内で生じた過酸化水素を除去するだけでなく、反応過程で生じる活性種を用いて様々な生体物質の代謝に関与している。この酵素は過酸化水素により酸化を受けcompound Iとよばれる分子種になるが、これはハロゲンイオンなどの無機化合物だけでなくフェノール類などの有機化合物の酸化を触媒する。本研究では真菌Arthromyces ramosusが分泌するベルオキシダーゼ(ARP)をとりあげ、salicylhydroxamic acid(SHA)をはじめとする芳香族化合物やヒドロキシルアミンがARPにどのように結合し、反応にかかわるかを調べた。 ARP結晶を25mMのSHAを含む溶液(pH5.5)にsoakし、そのX線回折強度を1.9Å分解能まで測定した。差フーリエ合成から、SHAはARPのヘムの遠位側のチャネル内に深く入り込み、ヘム面とほぼ平行に結合していることが明らかになった。BHAの場合と同じく、SHAのOH、NHおよびC=Oは、それぞれHis56 Nε、Pr0154 O、および,Arg52 Nεと水素結合していた。興味深いことに、native状態の水分子の位置と、SHAの3つの官能基それぞれの位置がほぼ重なる。SHAはBHAに比べOH基を1つ多く持っているが、このOH基はARPと結合していなかった。SHAのOHとヘム鉄原子との距離は4.3Åであり直接的接触はない。NMRとMDから、クレゾール、レゾルシノールやヒドロキノンはARPと多様な結合様式をとっていることが示唆された。 示差ベクトルからヒドロキシルアミン(HA)とARPのKdは12.7mMであり、HAが結合することによりヘム鉄は6配位構造に変化した。ARP-HA複合体結晶を調製し、その2Å分解能X線解析の結果、HAはヘムの遠位側のポケットに結合していた。本分解能ではHAの方向を決定することは困難であるが、現在のモデルではHAの窒素原子が鉄に配位し、OH基が遠位ヒスチジン(His56)のNεと水素結合していると考えている。このモデルは共鳴ラマンスペクトルからも支持されている。HAが結合することによるARPの構造変化は無かった。さらにHAとARPとの結合のpH依存性を調べたところ、pKが5.4にあった。この値はHAのpKとよく似ており、HAはの結合のpH依存性はHAの解離による可能性が高いが、His56の解離による可能性も残されている。
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Report
(1 results)
Research Products
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