Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
面不斉をもつフェロセン配位子はいくつかの不斉触媒反応において優れた不斉触媒活性が認められており、また工業的に利用されているという報告もある。しかしながら、C_2対称の不斉フェロセン配位子や面不斉のみをもつフェロセン配位子に関する研究はほとんど行われていない。これらの新しい形の配位子の特性を解明すべく、本研究では、キラルなアミノアルコールとフェロセンジカルポン酸から1,1′-ビス(オキサゾリニル)フェロセン1を合成し、その高選択的なジリチオ化を経る面不斉をもつC_2対称1,1′-ビス(ジフェニルホスフィノ)-2,2′-ビス(オキサゾリニル)フェロセン2の合成を行った。さらに、2のオキサゾリン基を誘導することによって面不斉のみを持つC_2対称のP,P-配位子1,1′-ビス(ジフエニルホスフィノ)-2,2′-二置換フェロセン配位子3を合成した。続いて、配位子3を用いて、1,3-ジフェニル-2-プロペニルアセテートのPd触媒不斉アリル置換反応を検討した。興味深いことに、配位子の置換基がCO_2Me,CO_2Et,CO_2i-Pr基と大きくなるにつれて、光学収率が増加することがわかった。続いて反応温度を25℃から0℃に変更すると、反応速度は大幅に減少したが、置換基がCO_2Etの場合では、94%eeという最高の光学収率を得ることができた。この結果から、不斉因子として面不斉は十分な不斉環境を与え得ることが明らかになった。一方、ヒドロキシル基をもっP,P一配位子が、この反応において高い光学収率を与えたという報告があるが、本研究でCON(CH_2)_2OHとCON(CH_2)_3OHなどヒドロキシル基を含むP,P-配位子を用いたが、より良い結果を得ることはできなかった。
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