イリジウム錯体を触媒に用いる高選択的炭素-炭素結合生成反応の開発
Project/Area Number |
10132255
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
武内 亮 横浜市立大学, 理学部, 助教授 (00216871)
|
Project Period (FY) |
1998
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
|
Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
|
Keywords | イリジウム / アリル位アルキル化 / 位置選択性 / 立体選択性 / π-アリルイリジウム |
Research Abstract |
(E)-2-Hexenyl acetateはイリジウム錯体触媒存在下マロン酸ジエチルのエノラートと反応し、ethyl 2-ethoxycarbonyl-3-ethenylhexanoate(1)、 ethyl(E)-2-ethoxycarbonyl-4-octenoate(2)、ethyl(Z)-2-ethoxycarbonyl-4-octenoate(3)が生成物として得られた。収率は89%でありl、2、3の選択率は96:3:lであった。(Z)-2-Hexenyl acetateとマロン酸ジエチルのエノラートとの反応では収率81%で生成物が得られ 1、2、3の選択率は25:5:70であった。基質のgeometryにより生成物分布が大きく異なることが明らかとなった。(E)-2-Hexenyl acetateからはsyn体のπ-アリルイリジウム中間体が生成し、(Z)-2-hexenyl acetateからはanti体のπ-アリルイリジウム中間体が生成する。これらの結果はsyn体とanti体では求核剤と反応する際の位置選択性が異なることを示唆している。一般に、syn体のπ-アリル錯体はanti体より熱力学的に安定であるために、Z体のアリルエステルを基質に用いて反応を行うと生成物はE体とZ体の混合物として得られ、基質のZ-geometryを保持することは困難である。イリジウム錯体触媒により生成物3が選択率70%で得られたのでさらに選択率の向上を試みた。Tris(2-tert-butyl-4-methylphenyl)phosphiteを配位子として用いて(Z)-2-hexenyl acetateとマロン酸ジエチルのエノラートの反応を行うと生成物3の選択率が90%に向上した。(Z)-2-Nonenyl acetate、(Z)-2-undecenyl acetateからも同様に反応が進行し、Z体の生成物が選択率89%、87%で得られた。アリル位アルキル化において基質のZ-geometryを保持した生成物が高選択的に得られた初めての例である。このようにイリジウムに特徴的な高選択的炭素-炭素結合生成反応を開発することができた。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)