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¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Research Abstract |
1,1-二置換アルケンへのジアステレオ選択的ヒドロホルミル化は,α,β-不飽和アルデヒドへの炭素求核剤の共役付加に代わる合成的等価の手法となりうることを基本概念として,メタリルアルコール系の1,1-二置換型アルケンを基質とするヒドロホルミル化について,ロジウム触媒による反応条件をいろいろ検討した.嵩高いアルコールの保護基を用いても立体選択性の制御は一般に困難で,精密な有機合成に活用する方法論となり得ていないのが現状である.キラルな5,6員環の環状アリルエーテル誘導体のヒドロホルミル化でも,ジアステレオ選択性はシス:トランスが60:40とほとんど発現されない. より基本的でアキラルな基質4-t-プチルメチレンシクロヘキサンのヒドロホルミル化を検討した.H_2/CO(1:1)60atm下,用いたロジウム錯体がRhH(CO)(PPh_3)_3あるいはRh(CO)_2(acac)+2PR_3では生成物4-t-プチルシクロへキシルアセトアルデヒドのトランス/シス生成比が65-70:35-30と低い水準であった.一方,Rh(CO)_2(acac)単独では,このジアステレオ選択性に著しい圧依存性が見られ,H_2/CO(1:1)圧が60⇒5 atmに低下するに伴って,トランス/シス生成比が85:15から92:8まで向上した.トランス体が主生成物であることは,2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンの単結晶を得て,X線結晶構造解析で確定した.如上の特徴は,4-t.プチルメチレンシクロヘキサンのRhCI(PPh_3)_3触媒による均一系水素化が著しくシス選択的であることと対照的であり,反応機構的に解明を要する問題である.
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