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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
高周期ヘテロ元素が関与する飽和結合及び微弱結合(非結合性相互作用)の性質と機構を解明し,これを高選択的合成反応の設計や反応選択性理論へと応用することを目的として研究を展開している。本年度は,高周期ヘテロ元素が関与する弱い相互作用機構の解明において,研究成果が得られた。我々はNMRを相互作用プローブとして用いることにより,立体的な拘束がほとんど無い系を用いて,溶液中における相互作用エネルギーを定量評価する手法の確立を目指している。セレンと窒素との相互作用(Se…N相互作用)については以前,^<77>Se核と^<15>N核との間に観測されたスピン結合定数(J_<SeN>=13〜59Hz)の解析などから,ジクロロメタン中におけるSe…N相互作用エネルギーは5〜20kcalであり,作用機構としては窒素原子からセレン原子への電子の非局在化が重要であることを報告した。今回はSe…F相互作用及びSe…O相互作用について詳細に検討した。モデル化合物におけるスピン結合定数(J_<SeF>)の温度変化の解析から,Se…F相互作用のエネルギーはジクロロメタン中においては約1kcalであり,これは極性溶媒であるアセトニトリル中においてもほとんど変化しないことがわかった。このことは,Se…F相互作用においてさえ静電的な安定化の機構が重要でないこと示しており,化学の常識に反する大変興味深い結果である。Se…O相互作用においても軌道相互作用が重要であることが見出された。
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