Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
|
Research Abstract |
本研究は,シリルチオケトンと炭素,リン,イオウ,酸素などの種々の求核剤との反応を行うことにより,1)付加の位置選択性:求核剤の種類と攻撃位置との関係;2)炭素原子への付加体におけるl,2-アニオニック転位によるインターエレメント結合形成の可能性,を明らかにすることを目的として行われた. 1. ベンゾイルトリメチルシリルチオケトンの合成 シリルチオケトンは,Boniniらの方法に従い,ベンゾイルシランに対してエーテル中硫化水素,塩化水素を反応させることにより高収率で合成することができた.このものは,フリーザー中(30℃)でも数日で分解するので,カラム精製後速やかに反応に使用した. 2. シリルチオケトンとリチウムジメチルホスファイトとの反応 シリルチオケトンのテトラヒドロフラン溶液に-98℃でリチウムジメチルホスファイトを加え10分間反応させたところ,形式的にはリンがイオウ原子を攻撃して生成したと考えられる成績体1が57%の収率で得られた.同温で,反応時間を長くすると(30分,60分),リン原子が炭素原子に攻撃した後Brookタイプの転位が起こって生成したと考えられる化合物2と,このもののイオウ-ケイ素結合が開裂した化合物3が低収率ながら生成した.2,3は,加える順序を逆にしホスファイトの溶液にシリルチオケトン加えると,その生成比が高まった.次に,機構に関する情報を得る目的で,1をMeLiで処理(-98℃,10分)したところ3が得られた.この結果は,リンのイオウからケイ素およびケイ素の炭素からイオウへの1,2-転位が低温・短時間で連続的に起こっていることを示唆している.したがって,1の生成がホスファイトの炭素原子攻撃成績体を経由している可能性も否定できず,反応機構的に非常に興味深いる結果を得ることができた.
|