Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
|
Research Abstract |
本研究は、金属微粒子のプラズモン励起によって生ずる近接場を利用して、微粒子表面近傍に存在する分子種の赤外スペクトルを高感度に測定する方法、表面増強赤外吸収分光(SEIRAS)、を発展させるものである。本年度は以下の成果が得られた。 1.金属基板の結晶構造制御二表面研究では,構造がよく規定された単結晶表面を用いることが不可欠である。 SEIRASではこの点に問題があったが,表面のアニーリングにより,増強効果を低下させることなく(111)表面を露出させることに成功した。 2.SEIRAS活性な金属表面の拡張:これまでAu,Ag,Cuなどのごく限られた金属表面でしか強い増強効果が観測されていなかったが,Au基板にPt,Pd,Rh,Ruを真空蒸着あるいは電析させることにより,これら表面でも増強効果が起こることを確認した。これら金属は様々な反応において高い触媒活性を有し,SEIRASの応用範囲が格段に向上すると期待される。メタノール等の電解酸化触媒反応研究に応用し,反応中間体と思われる化学種を検出した。 3.SEIRASにおける化学的増強機構の寄与二表面増強効果は主としてプラズモンによる電磁気学的機構に因って起こるが,吸着分子と金属表面の相互作用の影響も考えられる。この点を明らかにするために,電気化学系で,電極電位変化(すなわち金属のフェルミ準位変化)に伴う吸収強度ならびに振動周波数変化を検討した。電極界面に存在する大きな電位勾配の影響(Stark効果)を高速の電位変調により除いた結果,いくつかの吸着分子と表面との間で電荷移動が起こり,最大で10%程度赤外吸収増大に寄与することを明らかにした。見かけの電荷移動速度は,電極反応速度とほぼ同程度であった。電気二重層充電の影響が完全に除去できないため,真の電荷移動速度を決定するには至らなかった。
|