高分子アロイのマクロ相分離に伴うミクロ相分離構造の構造転移に関する研究
Project/Area Number |
10136223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 竹治 京都大学, 工学研究科, 教授 (20026230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 幹人 京都大学, 工学研究科, 助手 (30222102)
長谷川 博一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60127123)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 複合相転移 / ミクロ相分離 / マクロ相分離 / ブロックコポリマー / 高分子超格子構造 / 自己秩序化過程 / 複雑液体 / ポリマーアロイ |
Research Abstract |
本研究では、二種類の高分子AとBがそれらの片末端で共有結合により一本の分子鎖中に結び付けられているA-BジブロックコポリマーとA-Bのー成分と相溶性を持つ高分子Cの混合系におけるミクロ相分離とマクロ相分離による相分離構造の形成過程を明らかにすることを目的としている。特に本年度では、初期条件としてミクロ相分離を起こさせてから、その後にマクロ相分離を起こさせた場合に注目し、その自己秩序化過程に関して検討を行った。 用いた試料はスチレンイソブレン共重合体(S-I,数平均分子量Mn=176,000,スチレン重量分率=0.85)とポリビニルメチルエーテル(PVME,Mn=27,000)Pある。S-Iは単体でポリイソプレン部分が球状ミクロ相分離構造を形成し、かつその球状ドメインが体心立方格子を組む。PVMEはS-Iのポリスチレンに対して相溶性をもっている。そのため、S-IとPVMEを共通良溶媒であるトルエンに溶解し室温で溶媒を蒸発させることにより、ポリスチレンとPVMEが均一に相溶してイソプレンの球状ドメインがポリスチレンとPVMEのマトリックスに均一に分散した透明なフィルムを得ることに成功した。すなわち、この状態においてはミクロ相分離のみが起こっている状態である。このフィルムを昇温するとフィルムは白濁し、スチレンとPVMEの相溶性が悪くなることによりマクロ相分離が引き起こされることが分かり、S-I/PVME系においてミクロ相分離・マクロ相分離の順で相分離を起こさせることに成功した。この系を用いてミクロ相分離・マクロ相分離複合相転移における自己秩序化過程を時分割光散乱法・時分割小角X線散乱(SAXS)法を用いて調べた。この系を一相領域(T=97.8℃)から二相領域(T=113.5℃)に温度ジャンプさせることによる、マクロ相分離構造の時間発展を時分割光散る乱法により追跡した結果、温度ジャンプにより系には、スピノーダル分解が起こり、系内に周期的構造が出現し、粗大化が起こっていることがわかった。S-I/PVME混合系のスピノーダル分解の初期過程はカーンの線形化理論により近似できることがわかり、その理論による解析の結果、スピノーダル分解初期過程において、S-Iが球状ミクロ相分離構造に拘束される効果およびBCC latttriceを組むことによるLong range orderの効果による相分離の遅延が起こっていることが明らかにされた。初期過程以後の、マクロ相分離構造が粗大化をするスピノーダル分解中後期過程においては、相分離構造の機構を特徴付けるピーク位置の波数qmの時間に対する指数は-0.26になった。これは、流体力学的な相互作用による成長が球状ミクロ相分離構造により抑制されることと、BCC lattticeを組むことによるLong range orderが弾性的効果をおよぼすためということがわかった。また、このマクロ相分離過程におけるミクロ相分離構造の時間変化を時分割SAXS法により測定をおこない、散乱光強度よりドメイン間距離等のパラメーターの時間変化を求めた。その結果、マクロ相分離の中後期過程において、イソプレンの球状ドメインのサイズが大きくなりかつ、BCC Latticeのドメイン間距離が減少することが観測された、これは、マクロ相分離により、均一な系がS-Iリッチ相とPVMEリッチ相に相分離することにより、S-Iリッチ相においてS-I単体での安定な構造へと転移することを反映していることが分かった。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)