フラーレンの圧力誘起-混成軌道修飾化・複合化と炭素新物質群の探査
Project/Area Number |
10137204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
八木 寿子 (平井 寿子) 筑波大学, 地球科学系, 講師 (60218758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 恭子 青山学院大学, 理工学部, 講師 (20272742)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | C_<60>フラーレン / ポリマー構造 / 超高圧・超高温 / 新物質群 / 結晶構造 / 混成状態 |
Research Abstract |
C_<60>フラーレンは、電子状態・結晶構造とも極めて特異的であり、高温・高圧下において、多様な構造変化・混成状態変化が期待される。本研究ではダイヤモンドアンビルセルを用いYAGレーザーによる加熱を含めた高温高圧実験を行った。非静水圧性を変えるため、充填密度を変えた2試料について、X線回折(XRD)によるその場観察、及び、回収試料の顕微ラマン分光を行った。 充填率の低い試料では、30GPaまでに3段階の圧縮過程が見いだされた。また、充填率の高い試料では、数GPaまでは連続的に圧縮されたが、明らかな不連続点があり、その後、別の圧縮曲線に沿って圧縮された。また、加圧後の加熱では、前者はレーザーで照射した中心部が透明に変化した。XRDによりこれはアモルファスであった。顕微ラマン分光により、透明部分はDLC膜に特有なブロードな振動が現れ、周辺の黒色部分では、ポリマー化C_<60>フラーレンの振動が観察された。後者の試料は、同様の加熱に対して透明にならず、また、XRDパターンも基本的に変化はなかった。 前者の試料に関して、段階的圧縮と加熱後の顕微ラマンの結果を考慮すると、以下のような構造変化をたどったと解釈できる。観察された段階的圧縮は、ポリマー化の段階的進行を示唆しており、このことは、加熱の十分におこなわれなかった、試料周辺部がポリマー構造として残っていたことからも支持される。すなわち、前試料は、圧縮により、ポリマー化の段階的進行を経て、加熱により、sp_3アモルファス状態(透明で、かつ、DLCに近いラマンスペクトルを示す)まで転換したが、長距離オーダーのダイヤモンド構造を形成するまでには至らなかったと考えられる。後者の試料は、観察される回折線はすべてfcc構造として説明がつくことから、fcc構造を保持した、別の高圧でより安定な構造に変化したものと考えられる。C_<60>フラーレンは非静水圧性が高いほど構造変化を起こしやすく、また、ポリマー化を経由するほうが、sp^3アモルファス状態(ダイヤモンド変換)へより容易に到達している。これは、ポリマー化、すなわちC_<60>分子同士の架橋によりsp^3結合が局所的に形成されるため、これが核となり、比較的容易にダイヤモンド変換が実現できるためと考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)