Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
熱フィラメントアシストスパッタ法により作製したカーバイン複合薄膜について各種の評価を行った。 薄膜はグラファイト板をターゲットに用い,直流マグネトロンスパッタリングにより堆積させた。スパッタガスには純アルゴンを用いた。タングステンフィラメントを基板とターゲットの間に設置し,フィラメント温度を熱電子が放出される程度の高温に保つことにより結晶性炭素薄膜が得られた。 熱フィラメントアシスト法はダイヤモンドの気相成長法で広く用いられており,熱電子により励起された水素原子が大きな役割を果たしていることが知られている。しかしながら,本研究において開発した方法は原料にも雰囲気にも水素を一切用いないことがダイヤモンドの気相成長と大きく異なっており,本研究の特徴となっている。 走査電子顕微鏡による観察の結果,薄膜は通常見られる結晶粒の集合体として構成されている部分と,柱状の炭素結晶により構成されている部分とが存在することがわかった。この柱状構造はさらに細い繊維状の結晶が束になって形成されている。 透過電子顕微鏡による評価の結果,繊維状の炭素結晶は太さが数10nm程度であり,いわゆるカーボンナノチューブに近い太さであるが,ナノチューブとは異なり中空ではないことが示された。この部分について制限視野電子線回折を測定した結果,一次元結晶特有の縞状の回折パターンが得られた。 この薄膜について顕微ラマン分光法により,結晶結合の評価を行った。主要な結合はグラファイト結合であるが,部分的にsp結合からのラマン光も検出された。このことから,作製した薄膜にはカーバイン相が含まれていることが確かめられた。
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