Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
|
Research Abstract |
天然リグニンの選択的構造変換,素材としての分離を同時に達成するプロセスとして,疎水性フェノール誘導体および濃酸水溶液からなる2相分離反応系を考案した。針葉樹,広葉樹いずれのリグノセルロース系複合体からも,その天然リグニンは室温,20-60分の相分離系処理にて高収率でリグノフェノールへと変換,炭水化物と分離され,樹種特性は認められなかった。 リグノフェノールの分子内フェノール核を活用する分子内機能変換ポイントの設計とその構築,およびスイッチング機能発現による素材の特性変換を考究した。リグニン結合位に対しO位に水酸基を有するフェノール核はその側鎖構造と無関係にスイッチング機能を発現すること,それによりリグニン素材の分子量,フェノール活性等高分子特性が精密変換されることを確認した。 リグニン本来の機能を生体外で再現すべく,新たに誘導したリグノフェノールを植物繊維の集合化剤として機能させ,形状可変型リサイクル複合材料の構築を試みた。リグノフェノールの複合化によって繊維素材の機械強度は飛躍的に増大した。分子内スイッチングユニットを機能させ,その分子量を約1/6〜1/8に変換しても複合体の強度特性にほとんど変動は認められなかった。さらに,リグノフェノール複合化により優れた耐水性,寸法安定性が付与され,しかも複合素材は,単純な溶媒浸漬により定量的に構成素材に分離されることを確認した。 相分離システムを現行木材工業の廃棄物ラインと直結することによる,森林資源の複合体レベルから分子素材レベルまでの高度循環活用システムを提案した。
|