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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
ルイス酸型人工酵素としてアルミニウム トリス(2,6-ジフェニルフェノキシド)(ATPH)を選び、本年度は二官能性基質とふたつの金属が関与した集積型錯体の合成によるカプセル分子の調製にまとを絞った。具体的には、ルイス酸型人工酵素、ATPHと二官能性基質としてのアミノ酸環状無水物とから集積型錯体の合成を行ない、その構造はX線結晶解析を行なうことによって決定した。同様のカプセル分子が、ATPH,2分子と1,4-シクロヘキサンジオンとから合成できた。このカプセル形成段階で興味ある知見が得られている。すなわち、ATPHと1,4-シクロヘキサンジオンを等量で混ぜると、完全にl:lの錯体のみが生成し、カプセル分子は全くできなかった。さらに、ここにもう1当量のATPHを加えるとカプセル分子が生成した。これらの挙動の様子は、^<13>CNMR測定によるカルボニル炭素の化学シフトによって容易に推察できた。カプセル分子内の1,4-シクロヘキサンジオンは、外部環境からほぼ完全に保護させており、例えば、ここに4-t-プチルシクロヘキサノンを加えても配位子交換は起こりにくく、続くメチルリチウムの攻撃をほとんど被らなかった。その他の二官能性基質として、各種のジカルボニル基質を用いて幾つかの集積型錯体を合成した。特にシクロヘキサジエン共存下、ジカルボニル基質として2,5-ジメチル-p-ベンゾキノンを用いると、カプセル内でシクロヘキサジエンとの環状付加反応が促進され、低温下でも円滑に反応が進行することが認められた。勿論、シクロヘキサジエンと2,5-ジメチル-p-ベンゾキノンを通常の反応条件下で混合しても、望ましい環状付加反応は全く進行しない。また、最初にATPH,2分子と2,5-ジメチル-p-ベンゾキノンからカプセル分子を形成し、その後、シクロヘキサジエンを加えてもジエンは全くカプセル分子内へ侵入できないため、相当する環状付加体は全く得られなかった。
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