Project/Area Number |
10145250
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
大隅 正子 日本女子大学, 理学部, 教授 (60060646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
地神 芳文 筑波大学, 生物学系, 教授
酒井 彦一 日本女子大学, 理学部, 教授 (80011477)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | Saccharomyces cerevisiae / Schizosaccharomyces pombe / GPIアンカー / 細胞壁 / 細胞内輸送 / アクチン細胞骨格 / マンナン蛋白 / 透過電子顕微鏡 |
Research Abstract |
酵母細胞表層への標的分子提示のための技術開発の基礎研究を行った。 1) 我々は分裂酵母S.pombeブロトプラスト液体培養における細胞壁再生系を開発し、細胞壁形成機構を三次元的に解明し、アクチン細胞骨格がコンダクターとして関与する理論を提案してきた。細胞壁物質の分子結合様式とアクチン細胞骨格の役割を解明するために、アクチン点変異株cps8を用いて、アクチン分子変異の細胞壁物質輸送への影響を検討した。cps8細胞は、隔壁の異常形成や細胞が分離せず、細胞壁は野生株よりも薄い部位や、数層重なった構造を呈した。プロトブラストの再生過程では、野生株に比べ、細くよじれたロープ状のグルカン繊維が観察され、グルカン・ネットワーク構築におけるアクチン細胞骨格の役割の重要性が実証された。 2) この知見を出芽酵母S.cerevisiaeに応用し、GPIアンカー型α-アグルチニンと外来グルコアミラーゼの融合蛋白の細胞表層への提示過程を検討した結果、融合蛋白は細胞内と細胞壁において不均一な分布をすることが確認された。また、細胞内輸送経路を分泌変異株seclを用いて解析し、制限温度下では分秘小胞の蓄積とERの伸長が観察され、融合蛋白の過剰発現に伴うGPIアンカーの不足、またはsecl細胞変異による融合蛋白の蓄積が、ERの伸長を誘導したと考える。 3) 一方、細胞に存在する蛋白はマンナンと結合しているので、マンナン糖鎖の結合異常が細胞壁に及ぼす影響について調べた。マンナン糖鎖欠損株は、細胞の成長が遅く、互いに凝集し、細胞壁は最外層のマンナン蛋白層に異常が見られた。 4) また、S.cerevisiaeプロトブラストの液体培養における細胞壁再生系を確立するため、プロトブラストの作製法を確立した。これにより、S.pombeの成果を基礎にしてS.cerevisiae細胞壁の形成機構を解明することが可能となる。 以上の研究から、外来遺伝子が細胞内で発現・輸送・分泌する機構と、細胞壁の構成分子の高次構造への構築機構の概要が解明され、それらの分子間へデザインしたい蛋白分子を架橋し、細胞壁の最外層へ提示する過程が理解され、新しい機能をもった酵母をデザインする可能性が高まったと考える。
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