Project/Area Number |
10146205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原田 宣之 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (30006324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 仁志 豊橋技術科学大学, 工学研究科, 助教授 (60282042)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | CD励起子キラリティー法 / ねじれたパイ電子共役系法 / キラフフラーレン化合物 / CDスペクトル / CDコットン効果 / キラル非局在パイ電子系 / パイ電子系SCF-CI-DV MO法1 / 絶対構造 |
Research Abstract |
有機化合物の絶対構造を非経験的に決定する方法として、CDスペクトル法が有用である。我々は「CD励起子キラリティー法」および「ねじれたパイ電子共役系法」を開発確立し、多くのキラル化合物の絶対構造を決定してきた。フラーレン化合物は球形あるいは楕円形をした非局在パイ電子系からなる特異な化合物であり、そのCDと絶対構造の問題は非常に魅力的であるにもかかわらず、未解決の問題であった。本研究ではキラルフラーレン化合物のCDスペクトルを理論的に計算することによって、その非局在パイ電子系のキラル構造を決定した。 1. キラルフラーレン誘導体は2種類に分類される。C60フラーレン骨格にキラルな置換基が1個ついた系では、CDコットン効果は小さい。これは母体のパイ電子系はアキラルであり、置換基の不斉の摂動によりCDが生ずる。他方、C60フラーレン骨格にキラルな置換基が2個ついた系では、置換基のつく位置によって母体のパイ電子系自体がキラルとなり、非常に大きなCDコットン効果を示す。これらのキラルパイ電子系のCDスペクトルを理論的に計算することによって、その非局在パイ電子系の絶対構造を決定できた。 2. CDの理論計算では分子の精密な立体構造が必要であり、我々は分子力場計算(MM3)あるいはMOPAC分子軌道法を用いて、フラーレン2置換体の構造を求めた。この座標系をもとに、パイ電子系SCF-CI-DVMO法でUVとCDスペクトルを計算した。実測と比較する際に問題点がある。すなわち、フラーレン系の吸収帯は可視領域からだらだらと続き、特徴あるパターンを示さず、吸収帯の帰属が困難であった。今後さらにUV吸収帯の帰属を確立する必要がある。 3. その他、キラルパイ電子系を持つ化合物のCDと絶対立体化学の関係を明らかにできた。
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