Project/Area Number |
10146209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
新井 達郎 筑波大学, 化学系, 教授 (50151139)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 光異性化 / 断熱的な反応 / 水素移動 / 互変異性 / 励起状態 / 蛍光 |
Research Abstract |
水素結合は分子認識の観点から多くの研究者から興味を持たれている。しかしながら、水素結合を用いて積極的に基礎的な光反応の制御を行ったり、水素結合による分子認識能を有する分子の光機能化はあまり研究されていない。 本研究では、特に基礎的な現象である二重結合の光異性化や環化反応を水素結合によりコントロールする観点から、各種の構造因子の異なる分子群を合成し、その光反応性を過渡分光法も含めて研究し、さらに光機能物質の創製への展開を目指した。特に、分子内水素結合系の一群の化合物を合成し、分子の多重光反応性、すなわち水素結合による二重結合の光反応性制御と二重結合のシス-トランス異性化による分子内水素結合系の光反応性制御の二面から検討を行った。 2′-ヒドロキシカルコンは、三重項状態で断熱的な水素原子移動を起し、また、この効果により二重結合部位の断熱的なシス-トランス異性化を起すことを明らかにした。 また、フェナントロリン環とピロール環を置換した水素結合型オレフィンでは、トランス→シス光片道異性化を起こし、さらにそのシス体は水素原子移動を起こし、蛍光が極めて長波長部に観測された。この系に金属イオンを添加すると金属イオンの配位によりシス体からトランス体への光異性化が効率よく進行し、水素結合と金属イオンの配位の組み合わせで光反応性を制御できることを明らかにした。 この様に、二重結合と水素結合部位の2つの反応部位を有する一連の化合物を合成し、新規の断熱的な光反応系を構築し、また、反応のポテンシャル曲面を実験的に決定上、二重結合の異性化を起こすか、分子内プロトン移動を起こすかを分子の構造因子との関連を明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)