水素結合ネットワークを形成した有機顔料の光学的性質
Project/Area Number |
10146218
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
水口 仁 横浜国立大学, 工学部, 教授 (90281005)
|
Project Period (FY) |
1998
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
|
Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
|
Keywords | 有機顔料 / 電子構造 / 水素結合 / 分子構造 / 結晶構造 / 相転移 / 赤外線吸収スペクトル / 光記録 |
Research Abstract |
生体系を除く水素結合組織体の卑近な例としてピロロピロール、インジゴ、キナクリドン等で代表される有機顔料が挙げられる。これらの顔料に共通な事は構成分子の分子量が小さいにも拘わらず、固体状態では鮮やかに赤や青に発色することである。この原因には水素結合をはじめとする分子間相互作用が深く関与している事は明らかである。本年度はチオピロロピロールの近赤外吸収と結晶構造の相関関係を励起子結合効果の視点から検討した。チオピロロピロールは分子量が僅か320であるが“レンガ塀のレンガ"構造(結晶相III)をとると近赤外吸収が現れる。この為に、本物質はレーザープリンターの感光体や光ディスクの記録材料として注目されている。光励起された分子の間に働く相互作用(励起子結合効果)は遷移モーメントの方向と分子の配列に強く依存する。結晶構造を基礎とした分子軌道計算の結果、近赤外吸収は"head to tail"型に遷移モーメントが配列した水素結合ペアと“レンガ塀とレンガ"構造のように配列した分子ペア(convex & concave pair)の双方による長波長化が原因である事が明らかになった。この計算結果が満足できるものであった事から、励起子結合効果を6種類のピロロピロール(赤色顔料)の色調と結晶構造の相関関係にも拡張してみた。その結果、分子の積層方向の相互作用が色調に大きく寄与することがわかり、吸収極大と結晶構造の相関関係を半定量的に明らかにする事が出来た。本年度はこの他にt-ブチルピロロピロールとメタシアノピロロピロールの単結晶育成と結晶構造解析を行った。
|
Report
(1 results)
Research Products
(8 results)