生体内におけるプトロン:電子相互作用系のダイナミクス解析
Project/Area Number |
10146228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神取 秀樹 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70202033)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | レチナール / 異性化反応 / プロトン移動 / 水素結合 / 光 / 赤外分光 / バクテリオロドプシン / 視覚 |
Research Abstract |
レチナール蛋白質においては、「特異な非局在電子系」が「特異な水素結合系」のダイナミクスを制御し(逆も然り)、高度な機能を発現している。本研究においては、レチナールの非局在電子系の制御のもと、4ナノメータの生体膜間でプロトンを輸送するバクテリオロドプシン、蛋白質蛋白質問相互作用によって情報伝達を行うロドプシンの赤外分光法による研究を行い、以下の成果を得た。 バクテリオロドプシンの異性化に伴う蛋白質の側の構造情報を得るため、偏光赤外分光法を初期異性化過程に対して適用した測定系を構築した。その結果、異性化反応に伴う発色団の構造変化によって、水分子を含む水素結合ネットワークに大きな歪みが生じていることがわかった。一方、バクテリオロドプシンがプロトン輸送の方向性を発現するためには、蛋白質内部に方向性を規定するスイッチのようなものが過渡的に生じることが必要であろう。我々は最も大きく構造変化をした中間体であるN中間体における水分子の構造変化を測定することに成功し、後期プロトン移動に関与していると考えられる水分子の水素結合変化を解析した。さらにN中間体に対する偏光赤外分光から、スイッチに伴う蛋白質骨格の構造変化に現れる新しい振動バンドを見出した。さらにシステインのS-H伸縮振動が他の振動から離れた領域に存在することに着目し、水素結合ネットワークの動的な構造変化のプローブとして、システインの導入を提案した。 視覚の光センサーであるロドプシンは、超高速異性化を行う結果高い光感度を得ていることが知られている。我々はフェムト秒アップコンバージョン法を用いて、ロドプシンからの蛍光をはじめて実時間で捉えることに成功した。また赤外分光法を用いて活性中心や細胞質側領域に水分子が存在することを明らかにした。視物質であるロドプシンの機能は、光によってG蛋白質を活性化することである。我々は複合体の形成に伴う赤外スペクトルの変化を捉えることに成功し、さらにトランスデューシンにおける相互作用部位であるC末端のペプチドを用いて同様の測定を行うことにより、ロドプシンとトランスデューシンに由来する信号を帰属した。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)