Project/Area Number |
10146255
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長尾 秀実 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30291892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 兆 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80029537)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | π共役ラジカル / 電子移動 / 超伝導 / エキシトン / スピントンネル |
Research Abstract |
本研究の目的はスピン共役電子系における磁性・導電性・超伝導性発現の可能性を理論的に.探ることである。平成10年度の研究計画に基づき、(I)電荷および電子移動機構磁性および超伝導発現の可能性を理論的に示した。また、最近のトピックスである(II)スピントンネリングについての理論的研究も行った。安定に存在するπ共役ラジカルを量子化学的研究については現在解析中である。 (I)電子移動による超伝導発現の可能性についての理論的研究 超伝導発現機構の中で、導電性高分子と側鎖からなる分子系はLittleモデルとして知られている。しかしこのモデルが超伝導になる可能性はほとんどないと結論づけられていた。そこで有機伝導体モデルに側鎖が着いたLittleモデルにおいて、その伝導体と側鎖間に電子移動があるモデル系でのエキシトン機構による超伝導可能性を理論的に考察した。一次元伝導体としてポリアセンを考えいくつかのモデルを計算した結果、以下のことが示された。(1)金属絶縁体転移する有機高分子鎖に電子移動を伴う側鎖を持つ系では、その移動エネルギーが小さい領域で絶縁体への転移温度が低くなる。(2)エキシトン機構有機超伝導の可能性を否定できない。 (II)スピントンネリングについての理論的研究 Mn_<12>O_2(O_2CR)_<16>(H_2O)_4のMn_<12>クラスターは異方性が高く、その磁気的振る舞いは、スピントンネリングを伴うために階段状のヒステリシスループを与える。そこで非線形σモデルを用いて、トンネリングレートを計算し、その磁気的振る舞いを調べた結果以下のことが示された。(1)系の磁気的性質が、異方性エネルギーを持つ有効スピンモデルで記述できる場合、有効スピンが半整数である場合はスピントンネルが起こらない。(2)有効スピンが整数である場合の基底状態間のトンネリングレートの一般式を導出した。(3)スピントンネリングは系の磁気的相互作用の構造に大きく依存する。
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