Project/Area Number |
10148212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 信夫 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (40126876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木塚 徳志 名古屋大学, 難処理人工物研究センター, 講師 (10234303)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | MgO / パラジウム / クラスター / 水素吸蔵 / 電子顕微鏡 / 原子直視 |
Research Abstract |
金属材料中への水素原子の侵入については、化学工学レベルでは水素吸蔵材料との関連でこれまで多くの研究がなされてきており、各種の環境条件と吸蔵量については詳細なデータが存在する。しかしこの吸蔵反応を金属原子と水素原子とのプロチウム化合物の生成という視点から見た場合は、その化合物クラスターの構造をはじめ、個々の物性についてもほとんど知られていないのが現状である。また吸蔵させる金属および合金のマトリックスにしても、近年開発された各種の先端材料の形態である超薄膜、ナノ結晶材料および人工格子という系での吸蔵特性の研究は皆無である。 本研究はこのような背景のもと、水素吸蔵およびプロチウムに関する二つの点で新しい研究を行った。(1)大きさが1〜2nmのパラジウムクラスターをセラミックス単結晶膜中に埋め込んだ新しい複合ナノ材料(申請者が独自開発)を研究試料として用いること。(2)このパラジウムナノ結晶への水素吸蔵およびブロチウム生成過程を数ミリセガンドの時間分解能で原子直視し研究することである。このような観察は1nmのレベルでおこるプロチウム生成のメカニズムを原子レベルで明らかにできるばかりでなく、水素吸蔵に伴うパラジウムクラスターの構造変化を1コマ1コマずつとらえられることを意味し、今後ナノ材料を水素吸蔵体として用いるための重要な知見を与えると期待できる。 平成10年度は、電子顕微鏡に直結した小型水素貯蔵および導入装置を作製し、顕微鏡内に、10^<-5>-10^<-6>torr程度の微量の水素を観察中に導入できるようにした。また水素吸蔵させる試料として、研究課題にある、2-3nm程度の大きさのPdクラスターを方位を揃えて内部に埋め込んだMgO薄膜を作製した。水素吸蔵過程の観察実験では、比較のためにMgO(001)単結晶膜上にPdクラスターを成長させた試料も用いた。最初は高圧放電による装置破損の安全の十分の確認のため、電子線を発生しない状況で電子顕微鏡内に水素を導入し、導入前と後でPdクラスターの同じ場所を0.2nm以下の空間分解能で観察し、水素原子の吸蔵や拡散がnmサイズのPdクラスターの外形や格子間隔にどのような変化をあたえるか原子レベルで観察した。つぎに高感度TVを備えた高分解能電子顕微鏡を用い、水素ガスを導入しながら80万倍の直接倍率でPdクラスターの動きを観察することに成功した。
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