Project/Area Number |
10149209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 和仁 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00172859)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 分子磁性 / スピンクラスター / 強磁性 / 常磁性 / 光応答性 / 結晶構造 / モリブテン化合物 / タングステン化合物 |
Research Abstract |
筆者らはこれまで光などの摂動により磁性を制御できる機能性磁石の創製を目指して、主として[M(CN)_6]^<n->素子に基づくプルシアンブルー類似体に注目して研究を行って来た。ごく最近新しい発想として[M(CN)_8]^<n->の構造の多様性と柔軟性を利用して幾何異性体による光応答性磁性体の設計を考えた。本研究は[M(CN)_8]^<n->(M=Mo,W)に基づいて新規分子磁性体系を確立すると同時に、より優れた磁性と光機能性を持つ分子材料の開発を目指した。具体内容は下に示す。 1. Mn_9W_6スピン-クラスターの構造と磁性:[W(CN)_8]^<3->とMn^<2+>の反応により、S=39/2の基底状態を持つスピン-クラスター{Mn_9[W(CN)_8]_6・24C_2H_5OH}・12C_2H_5OHが得られた。これはいままで報告されたスピンクラスターの中で最大のスピン量子数を示す。単結晶X線構造解析よりそれは非常に珍しい全ての面にキャップされたキュバン構造(full-capped cubane)を取っていることがわかった。 2. M'_<1.5>[M(CN)_8]の磁性:水中あるいはアルコール中で[M(CN)_8]^<3->とM'^<2+>の反応により、組成がM'_<1.5>[M(CN)_8]x・solvate(M=W,Mo;M'=Cu,Ni,Co,Mn)の化合物が得られた。それらはいずれも強磁性体であり、相転移温度Tcが20-55Kである。飽和磁化の測定から、M'_<1.5>[M(CN)_8](M=Mo,W;M'=Cu,Ni)がフェロ磁性体、Mn_<1.5>[M(CN)_8](M=Mo,W)がフェリ磁性体であり、Co_<1.5>[M(CN)_8](M=Mo,W)がフェリ磁性体に近いことがわかった。 3. 光磁気効果:化合物Cu_<1.5>[MO(CN)_8]については極低温で光照射を行ったところ、磁気相転移温度が35Kから42Kとなった。そのあと、サンプルを200Kでアニーリングしたところ、常磁性体となった。もう一度光照射を行うともとのTc=42Kの強磁性体に戻った。すなわち、光と熱によって強磁性と常磁性の間のスイッチができた。これはこれまで報告された光分子磁性体のなかではもっとも高いTcを示す。 以上より[M(CN)_8]^<n->(M=Mo,W)に基づく分子磁性体系は磁性と光応答性においてかなり期待できると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)