微視的手法によるdmit系金属錯体競合電子相の研究
Project/Area Number |
10149245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
中村 敏和 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (50245370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 利宏 学習院大学, 理学部, 教授 (60163276)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 有機導体 / ESR / NMR / 反強磁性 / フラストレーション |
Research Abstract |
平成10年度本特定領域研究の助成を受け,常圧下におけるPd(dmit)_2塩の系統的なESR,^1H-NVR実験を行い,反強磁性転移温度と結晶構造との対応を調べ,以下の知見を得ることができた.強い二量体構造を示すPd(dmit)_2系においては,EPRのg主値は単純なPd(dmit)_2アニオンラジカルのそれでは説明できず,強い二量体化の影響を受けている.g主値の値には顕著な試料依存性はみられない.試料間の二量体化の程度の差は小さい.反強磁性転移温度T_Nには顕著な差がみられ,T_Nは,二量体間のtransfer積分の大きさにより系統的に変化している.分子研米満グループ(A03班)の理論計算によれば,T_Nの系統的変化は実験結果と良い一致を示す.このことは,Pd(dmit)_2の常圧での基底状態が,強い二量体化に起因するという当初の予想を支持していると思われる.また,測定温度範囲内で反強磁性転移が観測されていない塩が1つあるが,その系では理論的にもフラストレーションにより長距離秩序が抑制されることが期待されている.以上のように,平成10年度の課題研究により,Pd(dmit)_2系の常圧絶縁状態について理解が深まったと考えている. 以上の成果をふまえ,今後は,常圧絶縁相の電荷局在状態・反強磁性相磁気構造の理解,高圧金属相ならびに高圧第二絶縁相の電子状態の研究,二量体化の弱いNi(dmit)_2系の理解・Pd(dmit)_2塩との対比を行う.常圧に関しては,残された課題である常磁性相の電荷局在状態の詳細を調べ,また反強磁性相に関しては,実験的に反強磁性波数ベクトルの決定を試みる.圧力下における金属相安定化の機構,超伝導発現機構,第二絶縁相の電子状態についても言及したい.
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)