Project/Area Number |
10149254
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
小寺 政人 同志社大学, 工学部, 助教授 (00183806)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 三核銅錯体 / アルカン水酸化 / フェノール類の酸化 / カテコール類の酸化 / 二核銅錯体 / 四核銅錯体 / O_2への多電子移動 |
Research Abstract |
1) 三核銅錯体の合成とこれを触媒とするアルカン類の酸素化反応の開発:tris(6-methylpyridyl)methane(L1)、または、bis(6-methylpyridyl)pyridylmethane(L2)とCuX_2(X=ClorBr)をMeOH中空気下で反応させ、NaOH及びNH_4PF_6を加えると、三核銅錯体[Cu(LnO)]_3(X)(PF_6)_2(n=1,X=Br,1;n=1,X=Cl,2;n=2,X=Br,3;n=2,X=Cl,4)が得られた。X線構造解析から、1-4の構造は、μ_3-X bridgeを持つ正三角形型の三核銅錯体であることがわかった。1-4は、H_2O_2を酸化剤とするシクロヘキサンの酸素化反応を触媒した。一方、単核及び二核銅錯体ではこのような触媒作用はほとんど見られなかった。従って、集積化によって銅イオンの酸化還元が容易になり、アルカンの酸素化を触媒できるようになったと考えられる。さらに、bis(6-methylpyridyl)phenylmethanol(L30H)を合成し、[Cu(L3O)]_3(Br)(PF_6)_2(5)を得た。5は、シクロヘキサンの酸素化反応に対して約50回という高いturnover数を示した。従来から銅は、鉄やマンガンに比べて、単独ではアルカン類を酸素化する能力が低いと考えられてきた。しかし、銅イオンでも、集積化すれば、アルカン類を比較的効率よく酸素化することができることを示すことができた。 2) 銅イオンが触媒するフェノール類の酸素酸化反応における金属集積化の効果:フェノールやカテコールのO_2-酸化反応は、銅(II)イオンによって触媒され、活性種は四核銅錯体であると考えられてきた。しかし、これを実証した例はない。生体内では、活性中心に4つの銅イオンを持つマルチ銅タンパク質がフェノールなどを含む様々な基質のO_2-酸化反応を触媒している。我々は、これらの金属集積化効果を実証し、その理由を解明するために、二核及び四核銅錯体を合成してその構造を決定するとともに、これらが触媒するフェノール類のO_2-酸化反応を速度論的に検討した。その結果、カテコールのO_2-酸化反応が四核銅錯体によって加速されることが示された。実際に、大環状配位子によって集積化された四核銅錯体が最も大きな反応速度を与えた。この反応全体の律速段階は、O_2の還元反応である。O_2の還元では1電子移動は熱力学的に不利な過程で、2電子移動が要求される。従って、実際の律速段階の反応は、{Cu_2(I,II)}_2からO_2への2電子移動となる。即ち、銅イオンが触媒する基質のO_2-酸化反応は、主にO_2の還元が律速段階であり、この過程には2(または4)電子移動が要求される。これが、金属集積化効果の原因である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)