トランスジェニックマウスを用いたC型肝炎ウイルスによる肝発癌機構の解明
Project/Area Number |
10151208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小池 和彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (80240703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森屋 恭爾 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
四柳 宏 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥4,700,000 (Direct Cost: ¥4,700,000)
Fiscal Year 1998: ¥4,700,000 (Direct Cost: ¥4,700,000)
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Keywords | C型肝炎 / トランスジェニックマウス / コア蛋白 / 肝発癌 / 脂肪化 |
Research Abstract |
HCVでは肝炎の反復による発癌か、またはHCVそのものに発癌に関与する蛋白質が存在しているかが現在まで議論となっているが、その発癌機構は全く不明であった。しかし、C型肝炎ウイルスの個々の遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの表現系を検討することから肝発癌のメカニズム解明の糸口が得られた。 今回我々が作製した独立した2系統よりなるコア遺伝子を発現させたトランスジェニックマウスでは,マウス肝臓において2系統ともに雄の90%以上、雌の約50%で慢性C型肝炎の病理組織像の特徴の一つであるsteatosis(脂肪化)の出現が観察された。またこのマウスの観察を継続すると16ケ月齢をすぎたあたりから2系統のマウスそれぞれに雄の約30%雌の数%に肝腫瘍の発生を認めた。この腫瘍は脂肪の多い高分化肝細胞癌のなかに脂肪の少ない低分化肝細胞癌が出現するという「結節中結節」の特徴を有するものが認められた。また電子顕微鏡所見からミトコンドリア外膜の消失と免疫電子顕微鏡所見でのコア蛋白質の核内の存在が確認された。このトランスジェニックマウスでは血中ALTの上昇、肝炎の組織所見は認めていない。コア蛋白が肝発癌活性をもつこと、HCV自体が肝発癌に直接関与していることが、このマウスの系で確認された。ヒトのHCV関連肝細胞癌では、初期に脂肪の蓄積を認めることが臨床的に知られていたが、この脂肪化と肝発癌との関連の可能性もまた、マウスで示されたといえる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)