生体内ラジカル生成による発癌と抗ラジカル物質によるがん抑制
Project/Area Number |
10151241
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
前田 浩 熊本大学, 医学部, 教授 (90004613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤 智裕 熊本大学, 医学部, 助手 (30284756)
赤池 孝章 熊本大学, 医学部, 助教授 (20231798)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | フリーラジカル / NO / パーオキシナイトライト / 遺伝子変異 / ウイルス感染病態 / 発癌 |
Research Abstract |
近年、細菌(ヘリコバクターピロリ)やウイルスの慢性感染が発癌促進効果をもたらしていることが指摘されている。本研究では、これら微生物感染に伴う炎症反応におけるフリーラジカル種、特にNO関連フリーラジカルと発癌との関連に焦点を当てて検討を行った。 その結果、(1) これまでに報告したインフルエンザウイルス、サルモネラ菌に加え、I型ヘルペス単純ウイルス(HSV)の脳炎発症モデルにおいても誘導型NO合成酵素(iNOS)の発現の増強が見られ、また電子スピン共鳴法からもNOの産生が亢進していることが示された。(2) HSV脳炎病巣において、NOとスーパーオキサイド(O_2^-)との反応産物であるパーオキシナイトライト(ONOO^-)などによりもたらされる生体内ニトロ化反応のマーカーであるニトロチロシンの生成が示唆された。(3) in vitroにおいてONOO^-と核酸との反応産物をHPLC法により解析した結果、ONOO-はDNA、RNAいずれに対してもグアニン残基の酸化(オクソグアニンの生成)とニトロ化(ニトログアニンの生成)をもたらした。DNA鎖中に生じたニトログアニンは加水分解により自発的に脱塩基反応を起こしたが、RNA鎖中のニトログアニンは安定に保持され、DNAとRNAとではニトログアニンは異なる作用を示すことが考えられた。(4) in vitroにおいてセンダイウイルス(変異を調べるためにマーカーとしてgreen fluorescent protein(GFP)をゲノムに組み込んである)を生理的濃度のONOO-(0.8μM)で処理すると有意にGFPの変異が上昇した。 以上の結果より、微生物感染に伴う炎症局所ではNOやO_2^-、さらにはONOO^-などの活性窒素酸化物が過剰に産生され、タンパクや遺伝子にニトロ化をもたらしていることが示唆された。また、ONOO^-は遺伝子の変異を促進し、その作用は宿主細胞のみならず、病原体に対しても影響していることが考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(14 results)