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¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Research Abstract |
分化・成熟途上の胎児性組織を発生母地とする腫瘍群の分子病理学的解析の結果,以下の点を明らかにした. (1) Drash症候群とは異なった病態を示すFrasier症候群(軽度の腎障害,性分化異常,Wi1s腫瘍を欠く)の患者白血球のexon9-10の全塩基配列を決定した.その結果,exon9のspling donors sitesにミスセンス変異が認められ,同部位のsplicing isoformのうち+KTSの発現が認められないことが明らかになった.すなわち同症候群ではWTlspling isoforms,+KTS/-KTSのimbalanceが生じていることが明らかにされ,これが原因で特異な症状が生じることが示唆された.本症候群がWT1異常を伴う遺伝子病であることが世界で初めて明らかになった.また,splicing isoformsのうち,+KTS成分が性分化に関連する機能を有することが示された.以上の所見から,WT1xon9-10の異常を同定することは,Wilms腫瘍の発生と腎障害の病態を予測する遺伝子診断として有用であることを明らかにした. (2) 散発性肝芽腫の腫瘍および非腫瘍部組織におけるH19,IGF2のRFLPを解析するため各遺伝子の発現と各プロモーター領域のメチル化パターンを解析した結果,肝芽腫における腫瘍発症にはIGF2のloss of imprintingよりもH19のloss of expressionが重要であることが判明した.(3)Ewing/PNET腫瘍において,本腫瘍に特異的に認められるキメラ遺伝子を同定し,確定診断とする遺伝子診断を確立した.検出されたキメラ遺伝子の全塩基配列を決定し,そのパターンと病態との関連を解析したが一定の関係は見出せなかった.
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