化学療法剤による下痢発症機構と下痢抑制剤併用療法の基礎
Project/Area Number |
10153219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
竹口 紀晃 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (00019126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十里 彰 日本学術振興会, 特別研究員
酒井 秀紀 富山医科薬科大学, 薬学部, 助教授 (60242509)
浅野 真司 富山医科薬科大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (90167891)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | カンプトテシン / 塩酸イリノテカン / トロンボキサンA_2 / 抗腫瘍剤 |
Research Abstract |
抗腫瘍剤の塩酸イリノテカンは、DNAトポイソメラーゼIの阻害剤のカンプトテシン誘導体で、肺癌、大腸癌、卵巣癌などの難治性の癌にも優れた効果がある。しかし、その副作用として激烈な下痢や白血球減少があり、その使用は現在厳格にコントロールされている。塩酸イリノテカンによる激しい下痢はヨーロッパや米国では高用量のロペラミドとの併用により、防げることが報告されている。しかし、ロペラミドの下痢抑制機序については未だ明らかにされていない。本研究の目的は、vitroラット大腸粘膜を用いて1)塩酸イリノテカンによる下痢に対するロペラミドの抑制機序を明らかにすること、2)塩酸イリノテカンの下痢誘発機構に介在するメディエーターを検索することである。 本研究の結果、次の成果を得た。 In vitroラット大腸粘膜において、1)塩酸イリノテカンが、トロンボキサンA_2(TXA_2)の遊離を介して引き起こす塩素イオン分泌(過剰イオン・水分泌による下痢誘発の指標)は、ロペラミドにより濃度依存的に抑制されること、2)TXA_2の遊離は一酸化窒素(NO)により刺激されNOも塩素イオン分泌を引き起こすこと、3)別のカンプトテシン誘導体のDX-8951fは、塩素イオン分泌を増大させるが、その効果は、非常に小さいこと、4)一方、5-FUおよびその関連化合物は塩素イオン分泌を引き起こさないことがわかった。塩酸イリノテカンが引き起こす下痢抑制には、TXA_2レセプターアンタゴニストあるいはTXA_2合成酵素阻害剤の投与も有効であると考えられる。興味深いことに、臨床において炎症性大腸疾患の患者にTXA_2合成酵素阻害剤を経口投与すると、症状の改善が見られることが報告されている。新規カンプトテシン誘導体のDX-8951fは、現在臨床試験中で、塩酸イリノテカンとは異なり、重度の下痢は観察されていない。これらの臨床知見は、本研究の動物モデルで得られた結果とパラレルであり、本実験モデルにより、ヒトでの下痢誘発効果が予測可能であることがわかった。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)