Project/Area Number |
10153226
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲葉 カヨ 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00115792)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | 樹状細胞 / 細胞分化 / T細胞活性化 / 共刺激分子 / クロスプライミング / 抗腫瘍免疫応答 |
Research Abstract |
生体内末梢組織には未熟な樹状細胞が存在しており、これらは異物の侵入に対して監視細胞として機能し、所属リンパ器官へ移動した後抗原提示細胞として特異的免疫応答を誘導することが知られている。これまでの移植免疫応答をはじめとするいくつかの研究において、滞留性白血球(passenger leukocytes)以外に、宿主の骨髄由来の細胞が抗原提示細胞として働くことが報告されている。このような宿主の抗原提示細胞によるT細胞活性化をクロスプライミングと称し、腫瘍特異的免疫応答の誘導においてもこのような抗原提示機構が働く可能性が考えられる。そこで、本研究においてはCD4陽性T細胞の活性化を指標として樹状細胞によるクロスプライミング効果を検討した。用いた抗原はMHC classII(I-E)分子であり、そのため樹状細胞はI-E分子を発現していないC57BL/6マウスより調製した。 1) 未熟な樹状細胞は死細胞あるいは死細胞断片を捕食して、それら由来のペプチドをMHC classH分子に結合して提示するが、成熟した樹状細胞にはこのような活性が認められないことが明らかになった。また、特異抗原を発現するヒト由来腫瘍細胞を用いたときにも、特異的T細胞の活性化が誘導されたことから、腫瘍特異的免疫応答の誘導においても樹状細胞によるクロスプライミング効果が期待できることが示された。 2) 投与された樹状細胞は所属リンパ器官に選択的に移動するという性質を利用し、I-E陽性樹状細胞を足踪に投与したところ、膝窩リンパ節T細胞領域において抗原ペプチドの提示が認められた。また、アポトーシスを誘導した樹状細胞を投与した場合にも弱いながら膝窩リンパ節細胞にT細胞活性化能が検出された。これらの結果から、既にリンパ組織に存在する樹状細胞と局所に誘導される未熟な樹状細胞の両者にクロスプライミング能があると考えられる。
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