ヒト癌細胞のシスプラチン感受性決定因子としての相同組み換え関連遺伝子群の役割-ノックアウト細胞株と肺癌細胞株による検討-
Project/Area Number |
10153229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 穣 京都大学, 医学研究科, 助手 (30281728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 実根 岡山大学, 医学部, 教授 (00019621)
木浦 勝行 岡山大学, 医学部, 助手 (10243502)
武田 俊一 京都大学, 医学研究科, 教授 (60188191)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | シスプラチン / Rad51関連遺伝子群 / ジーンターゲティング / 肺ガン細胞株 / 相同DNA組み換え機構 |
Research Abstract |
抗癌剤シスプラチン(以下、シス)に対する癌細胞の耐性克服は臨床上重要な問題であり、耐性発現の機序の一つとしてDNA修復亢進が確立されている。シスによるDNAダメージ修復機構については、現在まで主にヌクレオチド除去修復機構(NER)が検討されてきたが、他の修復経路の関与についての詳細は不明であった。一方、細胞内ゲノムDNAの二重鎖切断(DSB)の修復経路の一つに、相同DNA組み換え機構(homologous recombination,HR)がある。本研究では、これに関わる遺伝子として同定されたRad51類似遺伝子5種類(Rad51B、Rad51C、Rad51D、Xrcc2、Xrcc3)全てのニワトリ遺伝子を単離し、それぞれの変異細胞株をジーンターゲティング効率の高いニワトリB細胞株DT40において遺伝子破壊して樹立した。全ての変異株においてシス感受性は非常に上昇しており、その程度はほぼ同等と考えられ、軽度の放射線感受性に比べて特徴的であった。また、これら変異細胞株にヒト或いはマウスの対応遺伝子を発現させることによりシスプラチン感受性は正常化し、さらに発現量の多いクローンにおいてはしばしば野生型以上の耐性を示した。これらの結果から、ヒトガンでRad51類似遺伝子の発現量が増した場合、抗癌剤耐性に関与する可能性が考えられた。現在ヒト小細胞肺癌株SBC-3とそのシス耐性サブラインなどを用いて、発現量の比較やタグ付きRad51Bの強制発現を試みている。 以上よりシスによるDNAダメージ修復に従来から言われていたNERだけでなく、HRが関与することが明らかとなった。HRにおいて機能する多数の蛋白のなかでも特にRad51類似遺伝子群が重要であり、これらの遺伝子産物の発現量の変化でシスの感受性・耐性が変化する可能性が考えられる。肺癌細胞株で実際にこれらの遺伝子産物の発現に変化があるか、さらに肺癌細胞株に強制発現させて感受性が変化するがどうが今後さらに検討を必要とする。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)