転写調節因子NFκBの不活性化による放射線抵抗性がんの感受性化機構
Project/Area Number |
10153232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮越 順二 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70121572)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Keywords | 放射線感受性 / 遺伝子導入 / NF-κB / 1-κBα / 脳腫瘍細胞 / リン酸化 |
Research Abstract |
放射線抵抗性脳腫瘍細胞にNF-κBの阻害蛋白であるI-κ.B遺伝子を導入し、以下の知見を得た。 1. ヒトI-κBα/MAD3cDNAを発現ベクターpcDNA3に組み込んでI-κBαの発現プラスミドを作成し、細胞に導入後、NP-κBのDNA結合活性を測定した結果、導入した過剰I-κBαの発現がNF-κBとの複合体を保持し、NF-κBの活性が阻害されているこ々を確認した。さらに、これら発現クローンの放射線感受性化を認めた。 2. in vitroカイネースアッセイの結果、I-κBα導入クローンにおいて、照射後のシグナル伝達が抑制されていることが示唆された。また、照射後のp53遺伝子発現については、wild-typeMO54細胞のI-κBa導入クローンでは抑制が、またmutant-typeT98細胞のクローンでは変化が見られなかった。 3. 次にI-κBα遺伝子のリン酸化部位(32および36番のセリン、42番のチロシン)のアミノ酸を塩基置換により変更し、このcDPNAをpcDNA3に組み込んで、この発現プラスミドを作成した。 4. これらリン酸化阻害I-κBαの発現プラスミドを脳腫瘍細胞に導入し、得られたクローンの放射線感受性化の程度を調べた結果、両セリンの置換ならびにチロシンの置換で放射線感受性化がさらに増し、これらすべてのリン酸化阻害によって、最も著しい放射線感受性化が認められた。 本研究によって,放射線抵抗性脳腫瘍細胞において、NF-κBの阻害蛋白であるI-κBα遺伝子を導入することにより、I-κBα過剰発現がNF-κBの核移行によるDNA結合活性を抑制し、抵抗性細胞の放射線感受性化を得ることができた。また、このようなNF-κB随害による放射線感受性化の機構の1つとして、本来細胞内で行われている放射線照射後のNF-κB転写調節に影響を与えた結果であると考えられる。さらに、I-κBαのセリンおよびチロシンを変更したリン酸化阻害型遺伝子を作成し、脳腫瘍細胞に導入した結果、リン酸化部位により放射線感受性化の程度が異なり、セリン置換の場合とチロシン置換の場合はほぼ同等で、セリンおよびチロシン共に置換された場合に最大であった。このことはI-κBαのそれぞれのリン酸化が細胞の放射線感受性化に対し独立した形で働いていることを示唆している。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)