脊髄における神経可塑性モデル、アロディニアの作用機序の解明
Project/Area Number |
10155228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦高 恵美子 関西医科大学, 医学部, 講師 (50291802)
松田 博子 関西医科大学, 医学部, 教授 (10181736)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 神経可塑性 / アロディニア / プロスタグランジンE_2 / プロスタグランジンF_<2α> / カプサイシン / 一次求心性線維 / ノックアウトマウス / モルヒネ |
Research Abstract |
末悄組織の慢性炎症や神経損傷など病的状況下において、熱などの侵害性刺激は一次求心性のC線維を介して痛覚過敏反応を誘発するだけでなく、本来痛みを生じない触覚刺激により痛み(アロディニア)が誘発される。今年度は、我々が確立したin vivoでのアロディニアモデルを用いてAβ線維を介する触覚刺激がなぜ痛覚として誤認されるのか、どのような生体因子が関与するのかという問題設定に対し実験を行い、以下の知見を得た。 C線維が関与するかどうか明らかにするために、生後直ちにカプサイシン処理を行いC線維を除去した4週目のマウスでアロディニア誘発実験を行った。プロスタグランジン(PG)F_2αのアロディニアは誘発されたが、PGE_2のアロディニアは誘発されなかった。さらに、モルヒネに対する反応性、グルタミン酸受容体ノックアウトマウスや電気生理学的実験から、PGF_2αのアロディニアがこれまで考えられてきたAβ線維を介するのに対し、PGE_2のアロディニアがC線維を介することをはじめて明らかにした。従来、アロディニアの発症には神経線維の発芽による器質的な神経可塑性が提唱されてきたが、C線維を介してアロディニアが誘発されることを明らかにした本研究結果は、機能的な神経可塑性によってもアロディニアが起こることを実験的に証明したものである。これまでPGは末梢組織、オピオイド系は中枢神経系で痛覚反応に関与すると考えられてきたが、我々は最近単離同定したペプチド・ノシセプチンとノシスタチン、さらにPCがアロディニアの誘発を制御することから、PGとオピオイド系がいずれも脊髄レベルにおいて痛覚の伝達と抑制の双方に相互に密接に関与していることを明らかにした。さらに、興奮性伝達の活性化と抑制性伝達の脱抑制がアロディニアの誘発に関与することを示した。このように、我々はアロディニアの発生機構の解明を通じて、育髄レベルでの神経可塑性を神経構造と物質レベルで明らかにしつつある。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)