海馬CA3苔状線維シナプスにおけるシナプス伝達長期抑圧の解析
Project/Area Number |
10156211
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
真鍋 俊也 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70251212)
|
Project Period (FY) |
1998
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
|
Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
|
Keywords | 海馬 / 長期抑圧 / シナプス伝達 / カルシウム / 電気生理学 |
Research Abstract |
1. 海馬CA3領域苔状線維シナプスでは、入力線維の持続した低頻度刺激によりシナプス伝達の長期抑圧(LTD)が誘導できることはすでに報告した。その誘導にはシナプス前終末に存在する代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)であるmGluR2の活性化が必要であるが、それだけでは十分ではない。本年度は、mGluRの活性化以外に必要な要素として、低頻度刺激時にシナプス前終末に流入するカルシウムイオンがLTD誘導に関与することを明らかにした。さらに、カルシウム濃度上昇に引き続き、蛋白リン酸化酵素であるCaMKIIの活性化が関与することを示唆するデータを得た。このシナプスでは、長期増強(LTP)においてもシナプス前終末でのカルシウムイオン濃度上昇が関与することが知られていることから、シナプス伝達効率の両方向性調節にカルシウムイオンが関与することが明らかとなった。2.海馬CA1領域でのLTP誘導に血小板活性化因子(PAF)が逆行性伝達物質として関与するとの説があるが、その可能性を直接的に検討するため、遺伝子ターゲッティング法によりPAF受容体を欠損させたマウスにおいてLTPを解析したところ、その誘導はまったく正常であった。また、薬理学的にPAFのシナプス伝達に対する効果を調べたが、やはりまったく生理活性を見出せなかった。したがって、LTPの誘導にPAFが関与する可能性は極めて低いと結論された。3.海馬に存在する神経ペプチドであるノシセプチンの受容体を遺伝子ターゲッテイング法により欠損したマウスでは、海馬CA1領域でのLTPが野生型の約2倍に増大していることを明らかにした。このマウスは海馬依存性の行動学習テストにおいて、記憶・学習能力が野生型よりやはり優れていることがわかった。したがって、ノシセプチンは正常動物ではシナプスの可塑的変化を抑制していることが示唆された。
|
Report
(1 results)
Research Products
(7 results)