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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
本計画ではシナプス後部に局在するmRNAの多数を効率的に検出,同定し,さらにはそれらの遺伝子クローニングを行うことを目的として研究を行った. ラット大脳からシナプス後肥厚部(PSD)を単離し,そこからRNAを抽出した.まずcDNAを作り,それをスターティングマテリアルとして,3'端に適当なヌクレオチドの組み合わせで結合したオリゴdTの混合物をanchor primerとし,もう一方には,任意の配列を持ったオリゴヌクレオチドの混合物をarbitorary primerとして用いて,アイソトープ標識デオキシヌクレオチド存在下でPCRを行った.得られたPCB産物を電気泳動で分離し、オートラジオグラフィーにて検出,同定した.上記で用いた乾燥ポリアクリルアミドゲルから,個々のバンドを正確に切り取り,ゲル内に含まれる約650種のDNAを抽出・回収し,再びPCRにて増幅して,アガロースゲル電気泳動で精製した.こうして得られたDNAのうち,現在までに約150種ほどの塩基配列を決定した.DNAデーターベースによるホモロジー検索の結果、23種類の遺伝子が既知のものであった.既にdendriteにmRNAが局在することが明らかにされているものの中ではMAP2が検出されていたが、他のものはそのmRNAのdendriteへの局在は報告されていないものであった.今回新たに未知の遺伝子として、しかもそのmRNAがdendriteに局在する可能性のあるものとして108個が見つかった.我々はそれらを仮にDem gene(遺伝子産物はDem protein)と名付けた.それらのうち,150 base以上の長さを持つ34クローンについて,in situ hybridizationを行いmRNAの局在を検証したところ,少なくとも16クローンのmRNAがdendriteに局在していることがわかった.以上の結果から,dendriteやPSD近傍に局在する遺伝子やタンパク質を同定するための方法として,我々の方法は十分に有効かつ効率の良い方法であることがわかった.また,現在までに異なった配列を持つものとして100種以上が確認され,なおがつまだ配列決定を待つものが450種ほどあることを考えると,mRNAがdendriteに局在するものの数は現在知られているよりもはるかに多く、少なくとも千のオーダーであると推定された.現在,残りの約450種の遺伝子の塩基配列決定と,in situ hybridizationでdendriteにmRNAが局在することが確認されたもののfull lengthを含む遺伝子のクローニングを進めている.
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