松果体細胞におけるグルタミン酸の入出力機構とメラトニンの分泌制御
Project/Area Number |
10156223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森山 芳則 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (10150658)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 松果体 / グルタミン酸 / メラトニン / エキソサイトーラス / Dアスパラギン酸 / 概日リズム / 分泌機構 / アセチルコリン |
Research Abstract |
約24時間の周期を持つ生物リズムはサーカディアンリズム(概日リズム)とも呼ばれ、動物はもとより植物や単細胞生物に至るまで広く見られる現象である。哺乳類の場合、概日リズムの中枢は視交叉上核と呼ばれる神経細胞集団にあり、この活動シグナルが交感神経を通じて松果体に伝えられる。松果体はこのシグナルをメラトニンという液性情報に変えて血中に放出する。放出されたメラトニンは受容体を介して時間情報を細胞に伝達する。従って、松果体は時間情報の変換器とも考えられ、メラトニンの合成・分泌機構を明らかにすることは概日リズムを理解するために極めて重要な課題である。 我々は、松果体におけるメラトニンの合成・分泌が交感神経により正の制御を受ける他に、負に制御する機構を内在していることを見いだした。すなわち、松果体細胞は神経の化学伝達と類似した機構により興奮性アミノ酸であるグルタミン酸を蓄積し、分泌している。これが隣接する松果体細胞に伝達され、メラトニンの分泌が抑制される。本班研究において、我々はこの新規な内分泌制御機構の全貌を解明することを目的とする。 本年度は以下の成果を修めた。 (1) メラトニンの合成・分泌を抑制するシグナル伝達系を解析した。クラスII型の代謝型受容体(mGluR3)が松果体細胞に発現しており、抑制性cAMPカスケードによりメラトニン合成酵素活性が抑制されることを見いだした。 (文献1) これは分泌細胞で代謝型グルタミン酸受容体が機能していることを示した初めての例である。 (2) グルタミン酸を濃縮する顆粒・マイクロペジクルの構成蛋白に関する研究を推し進め、マイクロペジクルにsynaptivvesicle protein 2Bが発現していることを見いだした。(文献2) (3) 松果体細胞がグルタミン酸を開口放出させるin vivoにおける刺激につき探求した。アセチルコリンがニコチン性受容体を介してマイクロベジクルの開口放出をトリガーすることを見いだした。 (文献3) これは、グルタミン酸によるメラトニン合成分泌阻害がさらに上位中枢により副交感神経を介して行われていることを示唆する結果である。 (4) 松果体細胞は哺乳類の細胞としては最も高濃度のDアスパラギン酸を含んでいる。松果物におけるDアスパラギン酸の生理作用と由来につき研究した。その結果、Dアスパラギン酸はLグルタミン酸よりも強いメラトニン合成抑制作用を示すことが判明した。その作用機構はLグルタミン酸のそれと少なくとも一部共通であった。 (文献5) さらに、このDアスパラギン酸が細胞内で生合成されている証拠を見いだした。これは動物におけるDアスパラギン酸合成酵素活性の初めての検出例である。PC12細胞にも同様の合成酵素活性が存在することを見いだした。 (文献4)
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)