中枢カテコールアミンニューロンをモデルにした神経回路形成のマウス遺伝学的解析
Project/Area Number |
10156226
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小林 和人 奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育研究センター, 助教授 (90211903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 夏樹 奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育研究センター, 助手 (40271556)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | ドーパミンニューロン / 緑色蛍光タンパク質 / チロシン水酸化酵素 / 軸索ガイダンス / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
中脳ドーパミンニューロンの軸索ガイダンスをリアルタイムでモニターするため、このニューロン特異的にgreen fluorescence protein(GFP)を発現するトランスジェニックマウスの作製を行った。カテコールアミンニューロンのマーカー酵素であるチロシン水酸化酵素(TH)の遺伝子プロモーターにGFP遺伝子を接続した導入遺伝子を持つトランスジェニックマウス系統において、カテコールアミンニューロン特異的にGFPの発現が認められた。トランスジェニックの中脳組織片(E11.5)をコラーゲンゲル中で培養することによって、ドーパミンニューロン軸索の伸長をGFPによってリアルタイムで検出することが可能であった。この軸索の伸長は、底板により反発性に制御され、また、whole mountでの脳の展開培養下で、吻側方向への特徴的なパターンを示した。培養下での軸索の応答は、本来のドーパミンニューロンの性質を反映しており、GFPの蛍光を利用してドーパミン性軸索の挙動をモニターできることが示された。TH-GFPマウスを利用すれば、セルソーターによってドーパミンニューロンを濃縮することも可能であり、この細胞集団に特異的なモノクローナル抗体の作製や特異的な遺伝子を探索するアプローチを提供する。今後、中脳ドーパミンニューロンの神経回路形成を制御する分子の探索およびその機構の解明を進める計画である。また、組織特異的な遺伝子ターゲティング法(Cre-loxPシステム)を用いて、中枢神経回路形成におけるグリコシルフォスファチジルイノシトール(GPI)アンカー蛋白質および低分子量GTP結合蛋白質Rhoの機能解析を行った。組織特異的プロモーターとして、ノルアドレナリン合成を触媒するドーパミンβ-水酸化酵素(DBH)遺伝子を利用した。本プロモーターは、中枢ノルアドレナリンニューロン、交感神経、運動神経などで組織特異的に発現する。GPIアンカー蛋白質の組織特異的な欠損により、神経細胞の生存や軸索伸長には異常がないものの、自律神経および運動神経の失調が認められ、両者の神経伝達に機能的に関与するGPIアンカー蛋白質の存在が示唆された。また、Rho機能の組織特異的な抑制によって、このGTPaseが少なくとも運動神経の軸索走行に重要な役割を持つことを見い出した。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)