抑制性神経回路の発達変化に対する神経回路活動の修飾作用
Project/Area Number |
10156231
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鍋倉 淳一 九州大学, 医学部, 助教授 (50237583)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 発達 / 神経細胞 / クロールイオン / グリシン / 神経回路 / トランスポーター |
Research Abstract |
神経回路活動による抑制性回路網形成への影響を調べるため、聴覚系にある台形体内側核(MNTB)から外側上オリーブ核(LSO)へのグリシン作動性入力に注目した。細胞内Cl^-を本来の濃度に保持したままグリシン応答を記録可能なグラミシジン穿孔パッチクランプ法を用いてLSO神経細胞内Cl^-濃度調節機構の発達変化、これに対する神経回路活動の修飾作用を検討した。 出生8日目以内のラットでは60%以上のLSO細胞はグリシンに対して活動電位の発生を伴う脱分極応答を示した。これに対し生後12-14日ではすべてのLSO細胞は過分極応答を示した。各々の細胞内Cl^-濃度を測定した結果、グリシン応答が興奮性から抑制性に変化するのは細胞内Cl^-濃度調節機構の変化によることが判明した。すべての日齢において細胞内Cl^-濃度調節機構はフロセミド(1mM)によってほぼ完全に抑制されたため、細胞内Cl^-濃度の発達変化は2種類のCl^-トランスポーター(KCCおよびNKCC)の機能的発現の変化に起因していることが示唆された。細胞外K^+の増加または細胞内K^+のCs^+への置換によって成熟LSO細胞内Cl^-濃度は上昇したが、未熟動物の細胞内Cl^-濃度には影響しなかった。一方、細胞外Na^+除去によって未熟動物の細胞内Cl^-濃度は減少したが成熟細胞内Cl^-濃度には大きな変化は与えなかった。以上から、未熟動物においてはNKCCよる細胞内へのCl^-取り込み機構があるがCl^-汲みだし機構がないため細胞内Cl^-濃度が高い。一方、成熟動物では、KCCによるCl^-汲みだし機構が細胞内Cl^-濃度を低く保っているためGABAやグリシンに対し過分極応答を示すことが判明した。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)