Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
脳は複数の複雑な神経回路網が、ある機能単位で組織化されることにより、学習、記憶あるいは情動といった高次機能を生み出していると考えられる。本研究は小脳を研究対象とし、高次機構の基礎にある過程(シナブスの可塑性)を分子レベル明かにしようとしている。私は、これまで小脳顆粒細胞一苔状線維間のシナブスに着目してシナブスの可塑性の研究を進めてきた。その結果、ニューレグリンと呼ばれる多機能性分化増殖因子が、ある特定の神経活動下、NMDAレセプターの遺伝子発現を制御し、顆粒細胞一苔状線維間のシナブス形成と維持に重要な役割を果たしていることを発見した(Ozaki etal,1997,Nature〉。NMDA受容体のアンタゴニストであるAP5はNMDAレセブター(NR2Cサブユニット)の発現をブロツクすることから、NR2Cの発現にはニューレグリンだけでなく同時にNMDA受容体を介した、特異的な刺激が必要であることも明らかになった。更にニューレグリンのレセプターである、ErbB(ErbB1〜4)の小脳での発現状態を解析したところ、NMDAレセブターの遺伝子発現にはErbB2とErbB4が、シナプス形成の後期にはErbB3が重要な働きをしていることが示唆された(Ozaki etal,1998,Neurosci.Res.)。また、小脳におけるNMDAレセプターNR2Cサブユニットの発現は、生後小脳後方より前方に向かってゆっくりゾーンを形成しながら進んでいくが、DiIによる苔状線維の標識により苔状線維の挙動を発生段階を追って調べていくとNR2C遺伝子の発現には苔状線雑の神経支配が関与している可能性が示唆された(Ozaki etal,1998,In Neural Deve1opment,Ozaki etal,1999,準備中)。更に最近の研究からニューレグリンは分泌型ニューレグリンと膜貫通型ニューレグリンを目的に応じ使い分け、シナブス形成と維持に様々な角度から関与していることが明らかになった(Ozaki etal,1999,投稿中)。現在、更に神経回路網の組織化におけるニューレグリン-ErbB経路の活性化と神経活動の役割を解析中である。
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