Project/Area Number |
10157227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
李 相男 福岡大学, 理学部, 助手 (40248472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 昭二 九州大学, 農学部, 助手 (70089936)
杉原 剛介 福岡大学, 理学部, 教授 (50090915)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 球状タンパク質 / デノボ合成 / 蛋白質の折れ畳み / 膜作用タンパク質 / 脂質-タンパク質相互作用 / チャンネル / アポトーシス |
Research Abstract |
水溶性の膜作用蛋白質が、いかにして膜の脂溶性環境に入ってその、活性を示すかは、未だよく分かってない。 大腸菌の産出するある種のチャンネル形成抗生物質coticineは2つの脂溶性α-ヘリックスが8つの両親媒性a-ヘリックスによって取り囲まれた構造を持つ膜作用蛋白質である。この、膜への挿入メカニズムの研究によると、まず2つの脂溶性a-ヘリックスが膜に挿入され、さらに、両親媒性ペプチドの脂溶性部分が膜中に挿入され、風で壊れた傘の型で、中心にボアーを形成するといわれている。我々は、以前より両親媒性ペプチドの膜作用機構についての研究をおこなってきたが,それらの基礎的な研究の蓄積をもとに今回、このコリシンの膜への挿入メカニズムを参照にして、天然蛋白質に似たモデル系として一つの脂溶性α-ヘリックスを、数個の両親媒性ペプチドが取り囲むミニ人工蛋白質をデザインした。膜作用性球状人工蛋白質(SGPと命名)は、水溶液中では脂溶性ヘリックスを中心にして3つの両親媒性a-ヘリックスがそれを取り囲んで、球状蛋白質の性質を示し、脂質膜存在下では、ヘリックスが膜に挿入され、傘が開いた形で、両親媒性ペプチドがその脂溶性部分を膜の表面に挿入し横たわることが示された。このSGPは、溶血活性、DNAの細胞内搬入作用のあることから、膜作用タンパク質の毒性や、遺伝子治療に必須な、DNA膜内輸送メカニズムの研究の基本モデルになることを示した。また、このものが、極く少量(2mM)でcell-free systemでミトコンドリア膜を膨潤させたり、DNAの断片化を起こすなどの典型的アポトーシス現象を示した。さらに、ヌードマウスを用いた実験系で、癌細胞への直接投与において、完全なるガンの治癒効果が見られ、その現象は抗癌剤として知られる、adriamycineよりも数倍も強力なものであった。 さらに、蛋白質の折れ畳みメカニズム、タンパク質表面やタンパク質内部の残基のパッキング等のタンパク質の構造安定化への寄与の精密な評価等、基礎化学的研究を目的として、球状蛋白質に似たミニ人工モデル蛋白質SGPを三つの部分(脂溶性、両親媒性とループ部分)に分けた三個のanalogを合成した。SGP部分の内部(コアー)の大きさや脂溶性とを高めると、興味あることにこれらは3量体を形成し、水溶性部分の分子間の荷電の反発を消すと2R体を与えるが、b-ターン部分を変えてもモノマーであった。これらのことは、脂溶性コアー、水溶性部分及び折れ曲がり部分が蛋白の会合に微妙に影響している事を示す。SGP及びこれらアナローグの溶液物性の研究は、タンパク質表面やタンパク質内部の残基のパッキングの評価等の、一般的理論と具体的な結論を与え、またそれらの、会合挙動の研究は、天然タンパク質の会合の要因を探る基礎となった。
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