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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
切断部位特異抗体は,プロテアーゼによって限定分解を受けたポリベプチド鎖に特異的に反応するようにしくまれた特殊抗体で,受容体の活性化,転写因子の分解,組織傷害などにおけるカルパインの活性化や引き続いて起こる基質タンパク質の切断を細胞レベルで解析するために活用してきた.今回はこの抗体を一部ランダム配列をもつペプチドに対して作成し,アポトーシスの情報伝達系にかかわるカスパーゼの標的分子の探索に利用することを試みた.C末端にAspをもつランダム配列ペプチドに対する切断部位特異抗体は,カスパーゼ3/7の基質であるポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼの断片や活性型カスパーゼ8と反応した.すなわち,この種の抗体が,比較的量の多いカスパーゼ標的タンパク質の同定に活用できることが示された.しかし,未知の微量成分を効率的に探索するためには,方法のさらなる改良が必要と考えられる.この研究過程で,カルパインの内在性阻害タンパク質であるカルパスタチンがアポトーシス細胞内でカスパーゼによって切断されることが発見された.カスパーゼ3/7は,カルパスタチンのN末端側のカルパイン阻害単位を開裂し,カルパイン抑制低下の引金となる.カルパインはアポトーシス誘導時に不活性前駆体から活性型に変化し,アポトーシスの制御にかかわると考えられる.本研究でカスパーゼ系とカルパイン系の接点が見いだされたことにより,アポトーシス制御機構の新たな展開が期待される.
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