選択的蛋白分解システムに関わるヒト及びマウス新規分子の同定および病態関連性の解析
Project/Area Number |
10163234
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中尾 光善 熊本大学, 医学部, 助手 (00217663)
|
Project Period (FY) |
1998
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
|
Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Keywords | ユビキチンリガーゼ / カルパイン / 神経線維腫症2型 |
Research Abstract |
細胞内蛋白分解システムにおいて基質特異性を発揮するユビキチンリガーゼおよび組織特異的なカルシウム依存性プロテアーゼ(カルパイン)の新しいヒト機能分子の生理機能および各種病態への関連性を検討した。ユビキチンリガーゼでは、E6ウイルス蛋白の存在下で腫瘍抑制蛋白p53の分解に関わり、しかもアンジェルマン症候群と呼ばれる神経疾患の原因遺伝子でもあるE6AP、変異によってハエの成虫原基の形成不全を誘起するhydのヒト相同遺伝子などを含む7種である。組織特異的カルパインとしては、線虫で性決定因子として同定されたtra3のヒト相同遺伝子が、大腸と精巣に特異的に発現する新規のカルパインであることを報告した。 E6APと同じユビキチンリガーゼファミリーに属するNedd4は、当初、神経分化で発現レベルが低下する遺伝子として報告された。リガーゼドメインに加えて、カルシウム依存性に膜リン脂質に結合するC2ドメイン、蛋白質間相互作用に働くwwドメインから構成されている。哺乳細胞発現ベクターおよび特異的な抗体を用いて、Nedd4は主に細胞質、核周囲および細胞膜近傍に存在した。神経芽細胞の神経分化過程において蛋白質レベルでも低下し、細胞質と神経突起の両者に染色された。結合蛋白または基質の同定には、酵母2ハイブリド・システムを用いて解析中である。リコンビナント蛋白を用いたユビキチン転移システムの解析から、Nedd4およひE6APと共役して働くユビキチン結合酵素(E2酵素)を同定した。 神経線維腫症2型の病因遺伝子産物NF2は腫瘍抑制蛋白のひとつであり、その遺伝子変異で不死化した神経良性腫瘍を発生する。NF2蛋白(merlin)がカルシウム依存性プロテアーゼ(カルパイン)で特異的に分解されることで、NF2遺伝子に変異のない腫瘍でも蛋白質レベルでの不活性化があることを見出した。しかも、髄膜腫などの神経腫瘍組織では、カルパインが恒常的に活性化されていることが判明した。このように蛋白質分解の異常に基づく腫瘍の発生メカニズムを、蛋白質分解変異と名づけた。
|
Report
(1 results)
Research Products
(7 results)