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¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
ニューロンが,入力の総和を計算し出力する過程を,前提二入力の総和,結論=パルスの出力とみて一種の推論過程と考える。このとき,前提→結論→前提を1サイクルとして力学系の表現を考える。この力学過程を特徴づける重要なパラメーターは時間遅れである。重荷シナプス遅延,シナプス後電位の和の計算に必要な時間,絶対不応期,さらには相対不応期が決定的である。相対不応期を力学方程式の中に組み込む。残りの時間スケールの大小関係によって二種類の方程式系が得られる。一つは通常のカイアネロ方程式(モデルCと呼応)で他の一つは関数方程式型のモデル(モデルBと呼ぶ)である。後者のネットワークをブートストラップ型ニューラルネットと呼んだ。モデルBとモデルCの相異を情報表現の立場から検討した。モデルBはCに比べ,一般に発火率が減少している。発火しているニューロンの分布は,モデルCがガウス分布であるのに対し,モデルBでは,ポアッソン的であった。これを反映して,平均発火率からのゆらぎは,モデルBの方が大きくなる。coincidence型かrate型かを調べるため,同期しているニューロンへの入力を調べた結果,モデルBでは,モデルCに比較して,抑制性ニューロンからの同期入力が多いことが分った。これは,モデルBがcoincidence型ニューラルネットであり,モデルCはrate coding型ニューラルネットであることを示唆している。この傾向は,入力から出力までの時間遅れが長くなる程顕著である。興味深いことは,モデルBとCを単一のニューロンが,入力依存的に切り替えている可能性が理論的に示唆されたことである。これは実験でみられているdual codingの機構を考える上で,今後参考にすべき点である。
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