Project/Area Number |
10164235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田辺 敬貴 愛媛大学, 医学部, 教授 (90171818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 恒彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70237733)
池田 学 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (60284395)
小森 憲治郎 愛媛大学, 医学部, 助手 (30294789)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 行為 / 道具使用動作 / パントマイム / 左半球損傷 / 体性感覚情報 / 補足運動野 / 運動前野 / PET |
Research Abstract |
我々は記憶理論の観点から行為に関する脳内機構を探る試みとして、本年度は道具の使用動作についての研究をさらに進め、動物実験を含む先行研究の知見に鑑みこれまでの臨床研究を総括した。 1. 左半球内での機能分担 ヒトの脳損傷時に観察される道具の使用動作の障害には、実際の道具の使用障害とは別に、動作のみ再現させた場合(パントマイム)の障害という病態が存在する。なぜ使用動作パントマイムのできない被験者が、実際の道具使用は可能なのか。実際の道具使用は可能ながらパントマイムが障害された9例について、使用動作パントマイムと、実際の使用動作を比較検討し、使用動作直後に道具から手を離すと、パントマイムで再現できなくなるという所見を得た。この2種類の課題における体性感覚情報の違いに着目し、さらに4例を追加して実際の道具の柄に類似した棒を持たせた場合のパントマイム成績を検討した。この新たな条件下での成績は、実際の道具使用と同程度に改善し、道具使用における体性感覚情報の重要性が確認された。先行研究と照合し、実際の道具使用動作は補足運動野、パントマイムでは運動前野と関連性が深いと考察した。 2. 左右半球での機能分担 これらの病態は使用手にかかわりなく左半球損傷に伴って生じ、使用手とその対側半球との関連性が指摘されている動物実験における定説と異なる。ヒトの両半球は道具使用時にそれぞれどのような機能を担うのか。別の物品を介して目標の物品に対処する遠隔操作状況における右半球の役割について検討を加えた。対象者は79歳右利き男性、左半球全域に梗塞巣を有する症例である。重度の失語並びに右片麻痺を呈し、左手での道具使用・パントマイムはいずれも不可能であった。しかし左手を延ばす、物を摘む、回す等の基本的操作能力は保たれ、意図的に遂行可能で、単純な遠隔操作能力も保たれていた。この結果右半球にも合目的的に道具を使用できる機能が存在し、左半球から道具に関する固有情報が与えられれば、左手での道具の使用動作が可能と示唆された。 3. PET課題 2月から健常被験者を対象に上記知見をPET課題で実証すべく、プロトコールを作成した。
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