哺乳動物生体内における突然変異原物質の生成とその除去に関わる酵素の解析
Project/Area Number |
10165219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
早川 浩 九州大学, 医学部, 助手 (70150422)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 突然変異 / 活性酸素 / エラー / 複製 / 転写 / クローニング / 酸化ストレス / fidelity |
Research Abstract |
生体内で生じる酸化ヌクレオチド、8-oxo-dGTPはDNA中に誤って取り込まれ突然変異を強力に引き起こす。これに対し哺乳動物ではMTH1蛋白により8-oxo-dGTPは分解され突然変異が抑制されている。 本研究においてはMTH1以外に8-oxo-dGTPを排除する新たな蛋白が存在するのではないかと考え以下の実験結果を得た。 (1) MTH1以外に8-oxo-dGTPase活性を有する酵素が存在しないかどうかを、MTH1ノックアウトマウス由来の細胞抽出液から検索したところ複数の活性を検出することが出来た、しかしながらいずれも8-oxoguanineに特異的な活性ではなかった. (2) (1)の研究で我々は酵素活性を指標にした蛋白の検索が困難であるとの感触を得たので、さらに相補性を用いた遺伝学的スクリーニング法を試みた.まずモデルシステムとして大腸菌の系を用い、大腸菌のmutT変異を相補する遺伝子を検索したところ、大腸菌から ribA遺伝子をクローニングすることに成功した(J.B.C.273, 26394-26399)。この遺伝子がコードするGTP cyclohydrolase IIはリボフラビン合成酵素の1つでpyrophosphatase活性を有することが既に知られていたが、今回新たに8-oxo-dGTPを分解する活性をも有することを発見した。このことはRibA蛋白がMutT蛋白のバックアップとして機能してることを示唆している。 なおこの研突は東北大学大学院理学研究科の山本和生教授との共同研究で遂行したものである. (3) これらの研究の過程で、GTPの酸化物である8-oxoGTPがRNAに誤って取り込まれることを大腸菌および哺乳動物由来のRNAポリメラーゼを用いたin vitroの実験で明らかにした.さらにこのようなあやまった取り込みは大腸菌では異常蛋白の生起を引き起こす.それに対し大腸菌ではMutT蛋白、哺乳動物細胞ではMTH1蛋白が8-oxoGTPを分解して8-oxoGのRNAへの取り込みを抑制してることが明らかとなった(Biochemistry in press、DNA Damage and Repair,Humana Press Inc.,).これらの結果はMutT/MTH1蛋白が「複製の忠実度」のみならず「転写の忠実度」の維持にも機能していることを示唆するものである。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)