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¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
本研究は,NCマウスに自然発症するアトピー性皮膚炎の発症メカニズムを解析し,さらにその修復を目指すもので,本年度はコンベンショナルNCマウスに認められる高IgE血症の誘導メカニズムの解明,特に,リンパ球ならびにマスト細胞の関与の解析,さらにIgE血症および皮膚炎発症の遺伝解析を主たる研究目標とした。 1) B細胞がIgEを産生するにはB細胞上のCD40とT細胞膜上に発現するCD40リガンド(CD40L)との結合,さらにIL-4の共刺激が必要である。様々な濃度のIL-4および可溶化rCD40Lを添加したところ,NCマウスB細胞のIgE産生は濃度依存的に上昇したが,BALB/cマウスに比べ,両因子に対する感受性が極めて高いことが明らかとなった。この結果は共通のシグナル伝達物質であるJAK3のリン酸化にも反映し,さらにアトピー性皮膚炎患者の末梢血より採取したB細胞においても同様の結果が得られた。すなわち,高IgE血症の原因の一つとして,B細胞のIL-4およびCD40Lに対する高感受性が推測された。 2) 抗原-IgE抗体のマスト細胞への結合は,起炎物質および炎性サイトカインの放出を引き起こすので,皮膚炎の病態発現におけるIgEの関与を調べるため,FcRγノックアウトNCマウスの作出を試みた。現在,9世代までのバッククロスで得られたマウスについて,皮膚炎の発現および血漿IgE濃度を測定したところ,皮膚炎病態およびIgEの濃度上昇は対照NCマウスより軽度であった。従って,皮膚炎の発現にはIgEおよびマスト細胞は必須ではないが,その増悪化に強く関与するものと推測された。またIgE産生も抑制されたことから,マスト細胞の活性化によるIgE産生の促進機構の存在が示唆された。 3) BALB/cマウスとの交配によって遺伝解析を行ったところ,F1には皮膚炎および高IgE血症が認められなかった。続いて,F1とNCマウスとの交配によって,皮膚炎発症の有無は1:1,IgE濃度の高低は1:3に分離した。従って,皮膚炎は一個(derm),また高IgE産生は2個の常染色体劣性遺伝子(ieh1,ieh2)によって発現誘導されるものと推測された。
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